学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
「ロー」
「まずは1-A、」
「ローってば」
「…なんだ」
「離してくれなきゃ、ちゃんと渡せないでしょ?」
掴まれた腕を持ち上げ、窘めるような口調でセナがローに呼びかける
その声に一度は振り向いたローだったが、すぐに前へと向き直ってしまった
「なっ!」
「展示部門優勝、1-A代表前へ」
「いや、セナは無視かよッ」
代表として前へ出たウソップが、思わずツッコミを入れると会場が笑いに包まれる
しかしツッコまれたローは笑うどころか、苦虫を嚙みつぶしたような表情で
「チッ」
「ひいい悪かった!だからそんな目で俺を見るのはやめろォ!」
舌打ちなどするものだから、まだ正式に受け渡されていない封筒とトロフィーを奪い取りウソップはその場から逃げ去ってしまった
「俺に構うな!続けてくれたまえ!!」
「ウソップくんったら」
物陰からそんな声だけが聞こえて、再び大爆笑が巻き起こる
セナも笑いが堪えきれずに、思わずしゃがみ込んでお腹を抱えて大爆笑していた
「…出し物部門優勝2-D前へ」
何ごともなかったかのようなローの一声に、ステージを見上げた全校生徒は一瞬にして静まり返る
中央に立つ生徒会長の表情があまりにも不機嫌そのもの。その傍らでは両手で腹を抱えて笑っているセナの姿
無意識にでも離れてしまった手を、今更戻す口実はない
そうなると、ローの考えることは一つ
『『ああ、早く終わらせたいんだ』』
早く終わらせて、セナを手元に置いておきたいのだろう
この半年で、全校生徒が学習している
いやほんの若干名と、なにより当の本人であるセナ自身は理解していないかもしれない
「2-D代表、前へ出ろ」
「あ?俺か…ったくルフィの奴、どこに行きやがった」
どうやら立ったまま居眠りをしていたゾロが、ようやく目を覚まして一歩前に出る
ローが形式上の言葉を述べるのを聞き流しながら、景品を受け取ればさっさとステージから下りた
残るは模擬店部門の表彰と、総合優勝のクラス発表
「1-C、代表前へ」
「はいっ」
笑いのツボから脱していたセナが、元気よく返事をすると目の前に回り込んだ
ニコニコと笑みを浮かべ、続くローの言葉を待つ
「なにがそんなに嬉しい」
「へっ?」
紡がれたのは形式ばったものではなく、ロー自身の言葉