学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
セナの親友となって早半年…ローの目の敵にされるのは、大概慣れっこである
「別に怖くねェしなァ」
「あはは、キッドだけだよ」
「お前の周りは誰も怖がっちゃいねェよ」
そこらの人間なら、ローが一睨みしただけで脱兎のごとく逃げ去ってしまうだろうが
セナの周囲の仲間たちは、怖がるどころか面白がってさえいる状況だ。もちろんキッドも含めて
「だから気にするこたァねェよ」
「ふふ、ありがと」
キッドがポンポンと頭を撫でてやれば、セナは柔らかく微笑み返す
その直後キッドが触れていた身体が一瞬浮いたかと思えば、細い腰に長い腕が巻きついてローが自分の方に引き寄せていた
「えっ、ロー?」
「相変わらず余裕ねェなァ…トラファルガーよォ」
「うるせェ。こいつは返してもらう」
ギュウウッと音が聞こえそうなほど、腕に力を込めて抱きしめているローをからかうようにキッドが鼻で笑う
そんな態度への苛立ちからか、ローは更に腕に力を込めた
しかしその力強さに根をあげたのはセナ
「く、くるし…っ」
「お前は、俺以外に触られた罰だ」
「オイオイ、真っ青になってんじゃねェか…離してや「テメェに指図される筋合いはない」……あァ?」
桁外れたローの腕力に、常人のセナが耐えられる筈もなくその顔は酸欠状態なのか青ざめてしまっていた
そんな姿を見兼ねてキッドは助け舟を出すが、一蹴されて悪態を吐き返してしまう
元々ウマの合わないローとキッド
たったそれだけのやり取りで大きな諍いの火種になってしまうのはいつものことで
「指図じゃねェだろォが。セナが苦しがってんだ、離せよ」
「力加減はしてある。これくらいじゃ人は死なねェんだよ。余計な口出しはやめてもらおうか」
「加減できてねェから青ざめてんだろ!テメェはバカかよ」
「本当のバカに言われたくねェ」
「なんだと、この野郎…」
結果的にセナの存在などそっちのけで、2人の間に火花が散ってしまう
「2人とも、喧嘩してる場合じゃないから!」
「お前は黙ってろ」
「テメェは黙ってな」
「なっ…あーそうですか!じゃあずーっと喧嘩してればいいでしょ!」
喧嘩に気を取られている内にローの腕の力が緩んでいたため、セナはあっさりと抜け出し2人から距離を置くと扉に手をかける
「私は行くからね」