学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
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「んんっ…」
セナは息苦しさに目を覚ました
ぼんやりと覚醒しきってない頭で、此処が何処だったのかを思い出そうとする
「重、」
何かにのしかかられている、というか抱きしめられているみたいだと認識すれば
意識を落とす前のことを思い出す
『ロー…』
服はいつの間にか制服をきちんと着せられていて、目の前で覆い被さるローも同じく制服を着ていた
しかし身を起こそうとしても、ガッチリと抱き込まれて身動きがとれない
ずっとこうして寝ていたのが信じられないくらいだが、ローの腕の中はなんとも心地よく安心する
再び微睡みに意識を手放しそうになったとき
バタンッ
「おい、いつまで休憩してやが……」
勢いよく開いた扉の音と共に、聞き覚えのある声
「お前ら、何してんだァ?」
「キッド…」
ソファに歩み寄ってきたキッドが、小さく収まった二つの身体に首を傾げた
セナはなんだか居たたまれなくなり、起き上がろうともがく
そうすると、背中に回っていた腕に力が込められる
頭上から不機嫌そうな声が降ってきた
「どこへ行く」
「ロー、起きてたの?」
「お前がゴソゴソしてるから、起きただけだ」
「起きてたなら、退いてっ」
「断る」
「キッドがそこに居るのッ!!」
恥ずかし気に顔を真っ赤に染めて、口にしたのが他の男の名前だったことにさらにローは不機嫌になってしまう
より腕には力を込めて、背後のキッドを振り返り睨みつけた
「何の用だ、ユースタス屋」
「ハッ、白々しいこって。…そろそろ表彰式が始まるから呼びに来てやったんだよ」
「えっもうそんな時間?!」
「あ、おいっ」
キッドのセリフに、今の時間を把握したのかセナは慌ててどうにかローの腕から抜け出し身なりを整える
どこか恨めしそうにキッドを睨むローに、キッドは肩を竦めつつセナへと近づいて何やら紙切れを渡した
「これ、なに?」
「表彰のクラスだとよ。トラファルガーに渡せって言われたからな」
「ローならそこにいるけど」
「今近寄るのは賢明じゃねェだろォ?」
恐る恐る振り返ってみると、凶悪な面持ちで此方をみているローが視界に飛び込んで思わず視線を逸らす
2人並んでヒソヒソとやり取りをしている光景に、痛いほどの視線が刺さっていた
主にキッドの背後に
「ごめんねキッド」
「気にすんな」