学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
「これが衣装だって知っても、断れなかったし…だからこんなことになっちゃって。ごめんなさい」
セナが今朝教室に着いてみれば、用意されていたのはこの際どい衣装
確かに喫茶店には間違いなかったのだが、その頭にはそれまで知らなかった『仮装』という単語が付いていた
詳しいことを知らなかったからといって、二週間前にナミと交わした約束を破るわけにはいかない
きちんと役目を果たすと言ったのは自分なのだ
「さっきの人だって、きちんと説明すれば良かっただけだと思うの」
ハッキリと断り切って、理解されるまで説明をすれば良かった
曖昧にとった態度が相手をつけ上らせ、結果ひどい勘違いを生ませてしまったのだから…自分にも非があるはず
しゅんと落ち込み項垂れる姿に、ローは小さく溜息を吐いた
ローからしてみればセナは完全に被害者でしかない
「別にお前は悪くねェだろ…元はと言えばナミ屋が騙して着せたようなもんじゃねェか。それに絡んで来たあの客も、ただバカすぎただけだ。普通考えりゃ分かる」
ナミが躍起になる理由は分かっているが、それでも少々やり過ぎなのは否めない。さきほどの件で、本人が一番感じているかもしれない
「まぁナミ屋については、ただの客寄せのつもりだったんだろう。あとの対応はお前自身が決めりゃいい」
友人思いのセナのことだ。あまりナミを悪く言うのは得策ではない。下手をすれば喧嘩になりかねないだろう
そもそも自分が口出しをするのはお門違いというものだ
「うん…あとで皆にも謝らなきゃ」
「ああ、そうすりゃいい。誰も怒っちゃいねェだろうがな」
俯いていた頭をポンポンと撫でてやると、反応したように顔を上げて少しだけはにかむ
その姿が何とも愛おしく迷わず腕の中に収めた
2人きりだからなのか、特に抵抗もなく大人しい
「それより」
「ん?」
「あいつらに謝るのも大事だが、俺に言うことはねェのか?」
耳元で息を吹き込むように囁くと、全身に力が込められたのが分かる
「さっき謝ったでしょ?」
「謝罪なんざ、そもそも必要ねェだろう」
「あ」
ローの言葉に暫し頭を悩ませてから、ふとひらめいたように声を上げた
「よく見たらロー服着てない」
「…着てんだろ」
申し訳程度の白衣を掴んでひらつかせてみせる
「それは着てるうちに入るの?…かっこいいけど」