学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
「しかも男ばっかりじゃねェかよ」
1-Cの教室前は、むさ苦しい熱気で溢れかえっている
「こりゃァ、どういうこった…」
中に入ることもままならない状況に、キッドは呆気にとられていた
ふと人ごみの隙間から、教室の看板が見えたので書かれた文字を読む
“仮装喫茶”
「おーい、ナミ!」
入り口で会計と、客をさばいていたナミを見つけたルフィが声を掛ける
「あら、アンタたちもう来たの」
「ナミさん!ちょっと来てください!!」
札を数えながら、にっこり笑ったナミがそう声を掛けたところで教室の中から、海軍のセーラー服を着たコビーが飛び出てきた
「何?さっきのアホクレーマーは追い出したんじゃ…」
「そうじゃないんです!セナさんが…ッ!!」
コビーの口から出た名前を聞いて、いち早く反応したのはもちろんローだ
「退け!」
「えっ、わぁっ!」
入り口で右往左往していたコビーを押し退け、人混みを力づくでかき分けて進むと開けた視界に広がる光景に目を瞠る
少し遅れて追いついたキッドも、一瞬理解が追い付かず硬直してしまった
『さっきから一番高い料理ばっか頼んでやってんだろォ~?いいじゃねェの』
「あの、ここはあくまでも喫茶店ですのでっ…そういうのは」
一番広い席に陣取った、品の悪そうな男が下卑た笑いを浮かべて接客をしていたであろう女生徒の腕を掴んでいる
その女生徒はボディラインを強調したような、ミニスカート仕様のナース服を着たセナで
惜しげもなく晒された太腿には、ご丁寧に黒レースのガーターベルトまで着けていた
『おねーさんがそんな格好で接客しといて、そりゃねェだろうが。なんならアンタを買い取ってやろうかァ?』
「なッ…!!!」
どこかの御曹司なのか、懐から札束を取り出しながらバカにしたような物言いをされ
頭に血が上ったセナは持っていた銀トレイで目の前の顔を正面から引っ叩く
『ふがっ!…ッこのアマァ!!折角可愛がってやろーってのに、俺に恥をかかせやがったな』
鼻血を流した男が、殴られて瞬時に掴みかかろうとしてきた
思わぬ速さにセナは思わず逃げ遅れて、恐怖にしゃがみ込んでしまう
『ここで辱めてや「"ROOM"-」
「?!」
聞き覚えのある声にセナは目を開けると、目の前には全身で怒りを表したローの背中があった