学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
1年の教室に向かう途中、通りかかった2-Dの教室前に居たゾロに声を掛けられる
「お前らんトコもお化け屋敷だったのか」
「確かゾロ屋たちはワノ国のお化け屋敷だったな」
三本の刀を扉に立てかけて、入り口の横に座り込んでいるゾロは濃紺の着流し姿をしていた
「おう、客引きとか任されてなァ…入ってかねェか?」
「…遠慮しておく」
やる気のなさそうな口ぶりで誘われはしたが、ゾロ本人も至って本気ではなさそうだ
そのまま流してしまえば先に進めたものの
「オイ、もしかして怖いのかァ?泣く子も黙る生徒会長サマがよォ」
「んなワケあるか」
「じゃあ入ってみようじゃねェの!」
物珍しいワノ国が舞台ということで、キッドは好奇心を駆り立てられたらしい
放っておいてセナの教室へ向かおうとすると腕を掴まれる
それは入り口の奈落の底のような闇から伸びてきた長い長い腕
「離せ、麦わら屋」
「あ、なんだトラ男かよー。ちぇっ、もっと驚けよなァ」
掴んだローの腕を支えに、ルフィが教室から姿を現した
女の格好をしているのは、ろくろ首の役を任されていたからである
「そんな妙技かましてくるのはテメェぐらいだろう」
「つまんねー」
「麦わらが主力かァ?こりゃ喜劇にしかなんねーだろ」
中に居た客たちは一斉に悲鳴を上げて出口から逃げていく
急に奥の井戸から伸びてきた腕と、ゴムの勢いで入り口まで飛んで行ったスピードが、人をすり抜けていったような錯覚を起こしたためだ
「しししっ、あいつら何にビビってんだ?」
逃げていく客たちを不思議そうに眺めるルフィは、自分がそうさせたということに気付いていない
ローとキッド、それにゾロも突っ込む気さえ起きなかった
「で、お前らどっか行くのか?」
「ああ、セナのクラスに…「飯か?!飯だな!!よし、行こう!!」
「はっ、ちょっと待てルフィ!お前まだ休憩じゃねェだろが!」
「ゾロがうまく言っといてくれ!んじゃ、行くか」
急に腹の虫を鳴かせたルフィに、思わずゾロが食いかかる
しかしこうなったルフィを誰にも止められるはずがない
「ったく、知らねェからな」
「ん?ゾロも来るか?サンジも居るぞ」
「…絶対行かねェ!!」
「にしし、そうか!じゃ、後よろしく!」
うなだれるゾロを他所に、3人は1-Cの教室へと向かった
「うわっスゲェ客だな」