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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第1章 10/31の文化祭(*)


ローは廃墟のようなセットの中、制服のズボンの上は何もまとっていない。いや血糊に塗れところどころ破けた白衣を一枚羽織ってはいるが、あとは小道具の聴診器を首にぶら下げ、眼鏡を着用しているだけの姿
手前に居るキッドとはまた正反対な格好で、客を迎えていた

「あのっ、写真撮ってもいいですかっ」
「私も!」
「私もっ!!」

文句を言うのも答えるのも面倒で黙っていれば、了承ととったのかいつの間にか始まった撮影会
暗がりでフラッシュがバンバン焚かれるものだから、頭が痛くなってくる
先ほどからこのせいで客の流れが止まってしまっているのだ

『はいはーい、撮影は追加料金貰いまーす。一旦出口へお進みくださーい』
「ええっそんなぁ、まだイケメン堪能したいです!」
『なら入り口から出直してねー』
「また来ますからねっ!」

客引きだった生徒が、奥で固まっていた客を外へ誘導する
客たちは何かを喚きながらこちらへ手を伸ばしているが、ローは知ったこっちゃない
寧ろようやく解放されたことで、壁にもたれ掛り重い息を一つ吐いた

客足が途絶えたのか、どこか遠くに聞こえる喧騒とは隔たれて、しんと静まり返る室内

「一人で楽してんじゃねェぞ」
「なんなら変わってやろうか」

すっかり暇になったためか、キッドは奥の部屋へ入ってくるとアンティーク調に作られた椅子へ腰かけて首を傾げた


「いらねェ。っとそういやセナのクラスは何してんだァ?」

此処に遊びに来ないのなら、クラスの手伝いでもしているのだろうか
親友ではあるが、キッドはこの1か月以上忙しそうにしていた本人から何も聞いていなかった

「…おい、ユースタス屋」
「あ?なんだよ」
「ここは任せた、俺は休憩に入る」
「ハァッ?!ふざけんな、マジ殺してやろうかテメェはよ!!」
「テメェになんざ殺されねぇよ」

颯爽と立ち上がり、出口から出ていこうとするローをキッドは慌てて追いかける

「待て、どうせセナのところ行くんだろーが!俺も行かせろ」
「テメェまで抜けたらあとが面倒だろうが、戻れ」
「うっせー俺に指図すんじゃねェ!」

ギャーギャーと2人で言い合いながら、教室を出る
このあとお化け屋敷の主力2人が行方をくらましたことを知ったクラスの女子たちが、今年の賞金が遠のいたと嘆いていたのを本人たちは知らない


「ん?トラ男じゃねェか」

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