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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第1章 10/31の文化祭(*)



パンッ、パンッ


穏やかな秋晴れの下、轟くような空砲とともに海楼学園の大きな門扉が開かれる
押し寄せるのは近所の住人から、中には遠路はるばるこの文化祭を楽しみにやって来た者も居る

『クレープいかがですか~』
『貸衣装まだまだありますよ、お気軽に立ち寄ってください!』

ゆっくりと見て回る一般客を、どうにか立ち寄らせようと客引きの生徒たちが必死で声を出し
文化祭は大盛況だ

今日はハロウィンということもあって、制服代わりに仮装をした生徒だけでなく
若い他校の生徒なんかは、お祭り気分で仮装も楽しんできているようだった




―3-Aの教室前

『こちらは西洋風のお化け屋敷となっておりまーす』

ゾンビの格好をした男子生徒が、薄暗く演出された扉の前で客引きをしている

“キャアアアアアッ!”
“うわぁぁあああ”

扉の奥からは、中に入った悲鳴が漏れている
しかし時には

“きゃーっ、そこから出てきた狼男超イケメンなんですけど!!”
“奥で静かに立ってた医者のゾンビがマジイケメンすぎ!彼になら何されてもいいわ…”

中には怖いのが苦手ではないのか、冷静に脅かし役を分析しながらの黄色い声が混じっていた
そしてその分析を聞きつけた通りすがりの女性客が一人、また一人と教室に吸い込まれてゆく
もはや客引きゾンビはスマホを弄っていた


「ひっきりなしだなオイ!少しは休ませろ!」

薄明りに照らされた赤髪に、見慣れない三角の物体
腕にも足にも毛皮をまとって、挙句の果てには尻尾らしきものまで衣装に縫い付けられている
3-Aの生徒であり、風紀委員長のユースタス・キッドはただひたすら奥の部屋へと客を追い込む係を任されていた

密室に近いこの空間で、毛皮まみれの衣装はいささか不快なようで何度も衣装の首元を煽る

「大体よォ、どうせ奥にしか出口はねェんだから追い込む必要ねェだろォが!」

始めは怖がる客が多く面白がってはいたが、段々と平気そうな顔をして、ましてやこちらを凝視してくる女性客ばかりで溢れかえっていた

「おいトラファルガー聞こえてんのか!そっちが詰まってるから流れねェんだよ、前の奴さっさと追い出せ!」
「俺に命令するな、バカスタス」
「あんだとォっ?!」
「出ていかねェんだよ、そっちで止めとけ。寧ろそっちから追い出せ」
「無茶言うな!バカファルガー!!」
「誰がバカだ!」
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