学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
どうにか手を引こうとしても、ビクリともしない
指先に湿りを帯びた生温かい感触を感じる
「ん、」
「フッ感じてんのか?」
ピチャリと水音を響かせながら、指の付け根から舐め上げたり、軽く指先を吸い上げたりされれば無意識に震えてしまう
目の前の顔が意地悪そうに笑っているのが悔しくて顔を背けた
「こっち向け」
「ゃ…」
「俺を見ろ」
ワザと腰にクるような低い声で、ねだるように名前を呼ばれてしまえば抗う術がない
ゆっくりと視線を戻すと、丁度見せつけるようにした赤い舌が指に這うところだった
「ッ…!」
恥ずかしさのあまり、声にならない叫びを上げて無理やり腕を引く
目の前ではニヤニヤと笑みを浮かべたローが、満足げに唇をひと舐めしてこちらを見ていた
「もう自分で食べて!」
「断る」
このままでは心臓がもたない
却下されようが、これ以上は絶対無理!
「自分で食べられるでしょ」
「書類詰めて手が疲れた」
「じゃあせめてフォークからにして?」
「直接食わせることの何が不満なんだ?」
もはや完全なる開き直りである
何としてでも全部の料理を直接食べさせるつもりらしい
此方を見遣る瞳は獲物を見つけた猛獣のようにギラついていて、これ以上は逃げられないことを悟る
「はぁ」
結局どうしたって、ローの望むようにしてあげたいと思ってしまう
今回も折れたセナは渋々次の料理を手に取った
ただここが生徒会室で、見守るように他の3人がいることを思い出すのはもう少し後のこと
「なんで誰も声かけてくれないの…」
「「や、あそこで声かけたら俺ら死ぬ」」
餌付けのように料理を食べさせながら、漸く最後のデザートを手に取ったとき
見ているのに耐え兼ねたのか横から伸びてきたルフィがパクッとセナの手ごと口に含んだ
そこで現在置かれていた状況を思い出すと同時に、ローは烈火の如くキレてしまう
「現に麦わらは会長にシメられてるからな?」
「アレ俺らなら即死だから」
後方ではローに首を絞めあげられ、真っ青になっているルフィ
「デザートなら、また作るのに」
「…はっ?!マジで言ってんのお前」
「会長もそりゃ怒るわ」
「違うの?なんで怒ってるの?」
甚だ見当違いのことをいうセナに呆れて物も言えないシャチとペンギン
波乱を巻き起こし兼ねない文化祭は明日に迫っている