第4章 姫始めは初詣のあとで(＊)

至近距離にあるローの顔が、珍しく赤面していることに首を傾げた
ローはそんな姿を見られまいと、セナの頭を胸元に押し付け深く深く溜息を吐く

「どうかしたの？」

触れる素肌が、いつもより少し熱い気がした
背中に回した腕で、筋肉質な彼の背中を指先で撫でてみる

「やめろ」
「あれ？ローってくすぐったかったっけ？」
「別に痛くも痒くもねェ。けど、煽ってんなら…受けて立つ」
「…ふふっ、なんでそんな決闘みたいになるの」

難しいとも形容しがたいなんとも複雑な表情でローが低く唸るように呟けば、セナは堪え切れずに笑いが漏れた
彼女が自分のした事にも、こうして笑っていることにもなんの悪気もないことはじゅうぶん分かっているつもりである

しかし分かっているからこそ2度目の溜息は、そんな彼女が知る由も無いローの心の内でひっそり、そして深々と吐き出された

セナにとっては無意識に口にする言葉や、行動の一つ一つまで全てがローを狂わせることを本人は自覚していない

「セナ」
「ん？、ッ」

少しだけ距離を取り名前を呼ぶと、返事とともに上げられた顔を固定して唇を塞ぐ
舌を絡ませ合い角度を変えて何度も、何度も深く口内を弄り擦り合わせた

そうすると段々力が抜けて、支えきれずセナはベッドに再び身を沈める
そんな彼女を潰してしまわないように、慎重に重なり合えば素肌に指先を滑らせた

「ふ、ンンッ」

唇を塞いだまま、刺激を受ければ鼻から抜ける甘い声が聞こえる
戯れとキスに夢中な間に下着の隙間から指を潜り込ませ上に捲り上げると、外気に触れたことでその行動を察知したのか肩を強く押された

なにかを言いたそうな視線を感じ、仕方なく唇を解放してやれば荒々しく肩で呼吸を繰り返す
深く呼吸をするため上下する膨らみが、中途半端にずらした下着の下で窮屈そうに揺れていた

「苦しいだろ」
「え？ッ、ちょ！」

ローは呟くと背中に腕を回し、指先でホックを簡単に外してしまうと窮屈そうだった膨らみがフルリと本来の形を露わにする

そうすれば誘われるように自然と唇を寄せて、薄く色付いた先端を口に含んだ

「ひゃ、ぁ！ッいきなり…ンッ」

ローにとってはあくまで自然な行動でも、セナにとってはなんの脈絡もない

けれど彼から与えられる刺激は、極上に甘く彼女を蕩かせた