学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
ペンギンの声に、一瞬手を止めるが
「だってこんなうめーモン、止まらねェ」
ペロリと口元についたソースを舐めとりながら、ごく当たり前のように言いのけると次の皿へと手を伸ばす
「だーかーら!俺らまだ食ってないし!」
「ったく、なくなる前に…ほら、セナ」
シャチが皿を取り上げて、ギャーギャーと言い合っている隙に
残りの料理を全種類少しずつ盛った皿をペンギンが渡してきた
「会長の分。持って行ってこい」
「うん、ありがとペンギン」
先ほどから一言も発していないローの元へ、慎重に皿を運ぶ
ローはどうやら書類を書くのは止め、椅子に腰かけたまま目を伏せていた
「ロー」
「……」
「寝てるの?」
「…なんだ」
どうやら眠ってはいなかったようで、うっすらと片目だけを開けてこちらを見遣る
少し眠りかけていたのかもしれない
「ごめんね、疲れてるのに…これ、明日の試作なんだけど」
おずおずと皿を目の前に出すと、完全に目を開けてまじまじと料理を眺めている
「嫌いなものでもあった?」
「いや、ない」
「よかった」
どうやら見た目にはローのお気に召したみたいで、ホッと胸を撫でおろす
しかしいつまで経っても、料理に手を出そうとはしない
「セナ」
「どうしたの?お腹減ってない?」
「お前が食わせろ」
「ええっ?!」
あまりの驚きに、思わず皿を落としそうになる
落とさぬまいと体勢を立て直したところで、腰を抱き寄せられてしまった
「ちょっと、危ない!」
「感想が聞きたいんだろ?食ってやるから、ホラ」
まるで雛鳥が親に餌をねだるように、セナの胸元でローが上目遣いに口を開けて待つ
その姿に少しときめいてしまったので、仕方なく皿から薄切りにしたローストチキンを取ろうとしてふと気が付いた
「フォークが…取ってくるから待っ「手で食わせろ」
「ソースが付いちゃうでしょ?あ、ペンギ「余す事なく綺麗に舐めてやる。早くよこせ」
言葉を被せられ、取りに行くのも取ってもらうのも叶わず…綺麗に舐めるとか、そういう問題ではない
けれどこうなってしまったローが離してくれるはずもなく、彼は再び口を開けて待っている
「…もぉ」
飴色のソースをまとったローストチキンを指でつまんで、開いている口にそっと落とした
すぐに手を引こうとするが、手首を掴まれて動けない
「も…」