学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
勢いよく閉められた玄関扉に背中を預ける体勢となれば、顎を掴まれ上を向かされて降ってきたのは荒々しくも甘い口付けだった
触れ合う舌先の温度がやけに高いと感じるのは、どちらも相手を求めているからなのか
「ふ、ッツ…!ん、」
口内をくまなく弄られ、歯列をなぞり頰の内側まで長い舌が這わされる
上顎をくすぐるように舌先で撫でられれば、セナの鼻から抜けるのは甘い吐息に変わる
どれくらいそうしていたのか、顎に添えられていたローの手が頰に移動した時ピクリと反応を示した
それからようやく唇が解放されると、浅く乱れた呼吸を整えるために大きく息を吸い込み吐き出す
「悪ィ…」
「ロー?」
「ここだと、冷えるな」
触れたセナの頰が思いの外冷たくなっていたことに、少しだけ冷静になったらしい。けれど
「ありがとう。でも…私も我慢できなかったから、いいの」
セナは頰に添えられた手に手を重ね、笑みを浮かべて擦り寄る
冷えた頰には、いつもより熱く感じる手のひらの温度が全身に広がるような気がした
それはまるで、ローの熱とセナの熱が混ざり合い一つになれるような感覚で密かに胸が騒めく
「ー"ROOM"」
「!」
突然ローの技であるサークルが周囲に張られると、セナが驚きに一言も発する間もなく景色が一変した
そこは見慣れた自分の部屋で、彼の技で瞬間移動したのだと状況を理解する
「階段上るだけなのに」
「…我慢できなかったんだろ」
「ふふ、そうだね。早くこうしたかった!」
ギュッと目の前のローに抱きついて、彼を堪能するように息を吸い込んだ
すると背中に腕を回されて、強く引き寄せるように力が込められる
頭の上にローの顔が寄せられると、同じように息を吸い込んだのが分かった
「袴姿、カッコいいね」
初めて見るローの和装姿は背もあり体格の良い彼には、とても似合っていると思う
「お前も、可愛いな。本当は、アイツらに見せたくなかったくらいだ」
セナはいつもそんなことはないと否定をするが、仲間や教師たちは、みんなセナを溺愛していた
他の誰かと間違ってもどうこうなるとは思っていないが、やはりセナのこととなると嫉妬や不安が渦巻いてしまう
だから全く周囲に警戒心を持たないセナに、ヤキモキすることもしばしば