学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
やわりと肌を撫でる指先が、いつもより熱く感じる気がした
此処が寒空の下だからなのか、ローの昂ぶる熱のせいなのか。例えそのどちらであろうと、今のセナはそれどころではない
『ダメ、ッ』
我慢して抑え込んでいた熱が、再び身体を侵食するきっかけなんて簡単なものだ
彼に、ローに触れられるだけでいとも簡単に熱は全身を巡る
チラリと見上げたローの表情は余裕が無いようだった
きっと彼も、中途半端な熱に苦しんでいたのだろう。けれどそれはセナも同じこと
だから拒みたくても、拒めない
「んんーっ、んー!」
相変わらず言葉にしようにも、口を塞がれているためどうにもならなくて唸り声しか発せなかった
普段から相手に余裕が無いのは自分だけだと思っているローは、きっと今もそう思っているに違いないのだ
「んーっ、…ッ、ゴクッ。ロー!止めて!」
どうにか咀嚼を繰り返し、口に詰め込まれていた肉まんを飲み込むと暴走しそうなローの手を掴み制した
あまりにぴしゃりと言い切られたからか、ピタリと動きを止めてチラリとセナを見下ろす。そしてバツが悪いのか舌打ちを一つ漏らした
「…チッ」
「あのねぇ、ローだけじゃないんだよ?」
「?何のことだ」
セナの言葉に訳が分からないといった様子で聞き返す。日頃頭のキレる彼は、いつもセナの気持ちにだけ考えが及ばない
それだけ本能、欲求に忠実に彼女を求めている証拠ではあるのだけど
学園での自信に満ち溢れたローとのギャップに、思わずセナは呆れたように肩を落とした
「本当に分からない?」
「だから何の話を「私だって、我慢してるんだけど?!」
あまりに勘の悪い返事をされて、思わず食い気味に言い返す
その勢いにローはほんの一瞬驚きに目を見開いた。言われた内容にも同時に驚いた様子である
「分かった?」
そう問いながらセナはよくよく冷静に考えて、ものすごく恥ずかしい事を言った気がした。この言葉の意味を、ローなら的確に分かってしまうのだから
ただ傍から見れば、細かくは分からないやり取りだったのが幸いかもしれない
「セナー!トラ男ー!!」
「ルフィ、どうしたの?」
「ん?2人とも顔赤ェけど、大丈夫か?」
「…気にすんな、麦わら屋」
「そうか?んじゃあ、行こうぜ!!」
「「何処に?」」