• テキストサイズ

学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第4章 姫始めは初詣のあとで(*)



ガサゴソと膝に抱えた紙袋から取り出されたのは、ホカホカと湯気を立てる白い物体
セナが半分に割ると、豚肉や玉ねぎなどたっぷりと詰められた具材が更に湯気を立ち上らせた

「はい、ローの分。熱いから気をつけてね!」

差し出された半分は、ほんの少しだけ反対側の手に持たれた片割れよりも大きい
何も言わず受け取れば、満足げに笑みを深くして自分の分を口に運んだ

「!あつっ!」
「バカ!つい今さっき自分で言っておいて、何してんだ…」
「えへへ、お腹すいてるし寒いから…あー、舌火傷しちゃった」
「見せてみろ」

両手で肉まんを持ったまま、首だけをローに向けて舌を覗かせる
火傷のせいか普段よりもほんの少し赤みを増した舌先が、伺うように上目遣いなのと相まって妙に色気を醸し出していた

ゴクリと生唾を飲み込んで、気が付けば吸い寄せられるように顔を近付ける

「ちょ、ちょっと!ロー!ここ、外だからっ!!」
「むぐ、ッ」

様子を見ていたはずの顔が段々と近付いてきたことに慌てたセナは、気付けば手にしていた肉まんをローの口元に押し当てていた
ちなみに外気に晒されていたため、既に温度は下がっているので火傷の心配はない

「っお前…」
「だってキ、キスしようとしてくるんだもん!」
「いつものことだろ。何を今更照れてやがる」
「だからここ外なんだってば!」

「学校でも充分外だろうが」

ローがセナに手を出すのは、今に始まった話ではなかった。学園だろうが家の近所だろうが、己の欲求に対して素直にセナに触れて来ようとする

「そ、うなんだけど。でも、違う!ここではダメなの!」

いつもなら何事も堂々と言い切るローに、折れるか流されるかで甘んじて受け入れるはずが何故か今日は頑なに拒んできた
そのことに少なからずムッとしたローが、グイと肩を抱き寄せたことでセナはバランスを崩して倒れかかる

「危ないってば!」
「安心しろ、ちゃんと支えてる」
「そういう問題じゃなくて、んぐ!」

身を委ねたまま抗議をすると、ローは手にしていた肉まんを口に押し込んだ
そうして空いた手が着物の裾から潜り込んできて、素肌を撫で上げる。セナが慌てて距離を取ろうとするが、慣れない下駄のせいで上手くバランスが取れずそれは叶わない

「?!ンッ、んんー!」
「こら、暴れんな」
/ 176ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp