学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
きっとこんなに切羽詰まっているのは自分だけなのだろうと、ローは内心深く嘆息した
いつだってヤキモキさせられるのはローの方だ
「帰ったら、覚えてろよ」
セナの両親は三が日を過ぎるまで帰らないというので、その間泊まり込む予定をしている
共に新年を迎えられたことは、非常に嬉しいことではあった
けれどもそれだけでは足りないのが本音でもある
彼女のことを求めれば求めるほど、満たされるどころか貪欲になるばかり
そんな事などセナはつゆ知らず、仲間たちと楽しげにしているのが無性に腹立たしくて虚しくなることもしばしば…
『ガキじゃねェんだ』
それでも側にいない構ってもらえない寂しさを口に出すことなど、ローのプライドが許さなかった
セナがそれらを口にするのなら、喜んで受け入れるのだが
「我ながら、矛盾してやがる」
「何が矛盾してるの?」
「だからテメェには関係ないと、…あ?」
ぐるぐると頭を悩ませる自分の思考を整理していたら、突然声を掛けられた
先ほどから何かと話し掛けてくるキッドが再び口を挟んできたのだと思い、ローは煩わしげに返事を返してふと気付く
聞こえた声は隣からでなく、頭上から降ってきた
けれどその声の持ち主に気付けなかったのは、本来此処に居るはずがないと思っていたから
「どうしたの?調子悪い?」
「セナ…ナミ屋たちと店回ってたんじゃねェのか」
「んー何処も人がいっぱいでね。あと食べ物屋さんがだいぶ撤退しちゃってて…」
「?まだ昼前だろ」
「ルフィとエース先生が食べ歩いてるの」
底なしの胃袋を持つ兄弟の手にかかれば、出店の在庫などあっという間に無くなるらしい
その他にも、取り巻く仲間たちは意外にもよく食べる者が多いのだ
「昨日から私たち、何も食べてなかったでしょ?」
「ああ、そうだったな」
今朝はゆっくりと目を覚ました上に、迎えが来たので食べる暇などなかった
元々食べることに執着のないローは、空腹という感覚をあまり気にかけることがない
普段集中していれば真っ先に後回しにされるのは寝食だった
「ローもお腹が空いてるんじゃないかと思って。まだやってるお店で買ってきたの」
しゃがみ込むローの隣にセナも並んで座り込む。そこに居たはずのキッドは、既に居なかった
「一個だけなんだけど、半分こしよ?」