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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第4章 姫始めは初詣のあとで(*)



「は…お前、引いたことないのかよ」
「え、うん…でも、中吉だって別に悪いわけじゃないし!ごめんね?キッドが引いたのに…はいこれ、返すね」

セナが申し訳無さそうに差し出したのは、確かに先ほどキッドが引き当てたおみくじで間違いなかった
しかしそのおみくじを、キッドは中々受け取ろうとしない

「?キッド?」
「はァ…仕方ねェなァ」
「何が?…やっぱり怒ってる、の、イタッ!」

覗き込むように顔を近づけてみれば、容赦のないデコピンをお見舞いされた
思わず差し出していたおみくじごと、じんわりと熱を持った額をさする

「やるよ」
「へっ?」
「大吉を今持ってんのはお前だからな。お前のだろ」
「いやでもさっきまで…」

突然のキッドの言葉にオロオロと狼狽するセナが、それでもどうにか返してこようと手を差し出す。しかし受け取られることなくおみくじごとその手を握り込まれてしまった

「まァ、さっきのはアレだ…お前なら、別に…やる」
「いいの?」
「男に二言はねェよ」

握っていた手を多少乱雑に押し返され、キッドはフイと顔を背ける
行動と言動が伴っていないが、背けられたその横顔は照れているのかほんのり赤みを帯びていた

手の中には、初めてこの手の中で見た"大吉"という二文字

「ありがとう!キッド!」
「ッおわ!いきなり危ねェだろうが!」
「だって嬉しいんだもん」

突然抱き着かれたことで視線を戻せば、心底嬉しそうに笑うセナと目が合う
こんなに嬉しそうにされるのなら、来年以降も自分が引いてやりたいと思ってしまった

「ま…自分が引いてんのにソレを渡さねェ、どっかの生徒会長サマより親友のがいいと思うだろ」
「相変わらず単細胞だな、ユースタス屋」
「んだと?!」

背後からローが手を伸ばすと、セナの持つおみくじを手に取り自分が引いた物と並べてキッドの前に差し出す

「?なんだよ」
「これで俺とセナのおみくじは一緒だ。いわゆるお揃い、だろ」
「…ンなもん今日この瞬間に世の中ではごまんと居るだろうが。テメェの方が単細胞じゃねェか、バカファルガー」

ドヤ顔で言い切るローに、キッドが呆れた溜息を漏らした。目の前の男は確かに諸々の面において頭は良いのだが、いかんせんセナのこととなると普段のキレが鈍るようだ

ロー本人に自覚はないようだが
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