学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
暫く吟味したのち、引き当てたおみくじを開いた
「あ…"中吉"」
結果を目にして呟くと、ローに見せるように向ける
すると彼は無言のまま、ただそのおみくじに視線を落とした
「次はローの番!」
「…あァ」
セナとは対照的に、あっさりと一枚のおみくじを取り出すと開く
隣でその中身を覗き込む
「"大吉"!本当に引いちゃった、すごいなぁ」
「何がすごいんだ、運試しだろう」
「…私、引いたことないんだよね」
手元を覗き込みながら、ボソリとセナが呟いたのをローは聞き逃さなかった
表情は窺えないが、決して明るくないことであるのは分かる
「でも中吉も2番目に良運なんだよ!私にはちょうどいいのかも」
視線を感じたのか、ローを振り返った表情はいつものように明るい笑顔だった
「ッしゃァ!今年も大吉だぜ、ほら見ろキラー」
「良かったな。紙切れに磁力はないだろうから、キッドの運の引きは今年も良好だろう」
「どういう意味だテメェ!」
「ふふ、キッドも大吉だったんだ。嬉しそうにはしゃいでる」
「恥ずかしいヤツだ。ガキじゃあるまいし」
キラーに摑みかかるキッドを見ながら、セナが笑いを堪えている
そんな様子に、ふとローが何かを思いつく
「"ROOM"」
「えっどうしたの?」
突然能力を発動させたローは、半円形のサークルをセナとキッドに展開させた
「シャンブルズ」
くるりと指先だけを半回転させると、一見何も変わった様子はない
そのままサークルは消え、やはり何が入れ替わったのか分からず…
「おい、トラファルガー!テメェの仕業だな?!」
「えっ、キッド?!」
ツカツカとローに詰め寄るキッドが、目と鼻の先に何かを押し付けた
それは先ほどキッドが引き当てたおみくじと思われる小さな紙切れ
「テメェが大吉引けなかったからってなァ!俺のと入れ替えてんじゃねェよ!」
「俺が引いたのは大吉だが?」
「だからそりゃァ俺が引いたのを、テメェがこの中吉と…「まっ、待ってキッド!!」…ア?なんだよセナ」
表情を一切変えないローに、さらに怒りを露わにしたキッドが胸ぐらに掴みかからんばかりなのをセナが慌てて割って入った
「それ、ローのじゃない」
「は?なら誰の、」
「ごめん、私…大吉引いたことないって話したから、ローが入れ替えたの」