学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
ローは眉間に深く縦じわを刻み込んで、ゾロとサンジの間に立つセナを見下ろした
彼女はいつまで経っても自分の女だという自覚をしてくれない。そのことがもどかしくて、いつも歯痒い思いをさせられる
「首輪、は…ちょっと」
からかいの色など一切含んでおらず、ただ真剣な表情と声音で言われた言葉にセナは本気で困ったように視線を泳がせた
またローを怒らせてしまった、そのためには言葉を受け止めるべきなのかもしれない
『これは、本気でやりそうだなぁ』
しかし今セナが軽い気持ちで二つ返事など返そうものなら、きっと帰りにでも本当に首輪を選びに行って繋がれてしまうだろう
それくらい今のローには余裕などカケラもなく、ただ不安なのが見て取れた
「あの、ね」
難しい顔をしたままの彼の手を、そっと握ると視線がぶつかる
見つめ合ったまま、少し照れたように小首を傾げ指を絡めると力を込めた
「もうちゃんと、こうして繋いでるから…」
首輪なんかより、手を繋げば直に熱を感じて存在を確かめられる
側に居るのだと、お互いが実感できるだろう
「これじゃ…ダメ、かな?」
「…仕方ねェな」
渋々といった様子で言葉を吐いたローの眉間からは、先ほどまで刻まれていた縦じわが姿を消している
どうやら機嫌はなおせたようだ
「じゃあ、おみくじ引きに行こ?」
「ハァ…俺にも引かせる気か」
「当たり前でしょ!」
手を繋いだままはしゃぐように歩き出したセナとされるがままついて行くロー
その背後ではすっかり存在を忘れられたゾロとサンジがやれやれと肩を竦めて仲間たちが集まっている同じ場所へと足を向ける
おみくじ売り場の人だかりに並ばされてなお、ローは至極面倒そうな溜息を吐いた
「こんなもん引いて何が楽しいんだ」
「新年一発目の運試しでしょ?」
「運なんて、自分で引き寄せりゃいい」
「もしかしてロー、凶とか大凶を引くのが怖いの?」
ふと思い当たった理由に、ローの眉がピクリと反応する
「怖いわけねェだろ」
「じゃあいいじゃない。運は自分で引き寄せるんでしょ?」
売り言葉に買い言葉、まんまとセナにのせられたローはおみくじを引かざるを得なくなった
漸く2人の順番が回ってくると、まずは意気込んだセナが気合十分におみくじを引く
「んー…よし、これっ!」