学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
目下に割り入ったのは、いつも自分たちを止める仲間のナミではなかった
「なんでって、仲間が喧嘩をしていたら止めるものでしょう?」
確かに仲間ではあるけれど、彼女は特別だ。その証拠に、ゾロは内心動揺を隠せず眉間に皺が刻み込まれている
セナに対して、仲間だ友情だという以外の感情があることを薄々気付いているから
そんなのお構いなしに、セナは言葉を続けた
「大体なんで2人はいつもそうやって喧嘩っ早いの」
しかしだからといってどうするワケでもない。セナにはローがいる
だから目の前で何も知らずに顔を近付けて、未だ懇々と説教されていてもゾロはどうすることもない。ただ内容なんか二の次で意識を逸らすのに必死だった
「ねぇゾロ、ちゃんと聞いて「セナちゃんッッッ!!ケガはないか?!」ぶふっ、!?」
青ざめたままのサンジが、勢いよくセナの腕を引くと勢い余ってその胸に顔面を打ち付ける
セナがぶつかってしまったことに、サンジは更に青ざめた
「レディになんてことをしてんだ、俺は!!」
「サ、サンジさん!私は大丈夫ですからっ!!」
今にも自分を戒めようとしそうな雰囲気に、セナが慌てて顔を上げる
すると今度は青ざめていた顔が、一気に真っ赤になった
サンジが慌てて、鼻から口元を手で覆う
「くっ…可憐な天使が俺の胸に!」
「えっ?」
「うるせェな、エロコック。さり気なく肩を抱いてんじゃねェ」
身長差から必然的に見上げる形のセナにときめいたサンジが、無意識に支えるようにして肩に手を回していた
目の前でやり取りを見せられていたゾロは、いつもより少しだけ低くなった声でその腕を掴み上げセナを引き寄せる
「なんでテメーが怒ってんだよ」
「目の前で気持ち悪ィもん見せてくんなつってんだ」
「あァ?!ンだとテメェにゃ関係ねェだろーが!セナちゃんに触んな」
「もうだから2人ともっ!!」
「オイ、人の女に何してんだ」
一部始終を見ていたローが、呆れと怒りを滲ませて口を挟む
セナが2人を止めに入ったことに、内心イラついたが目をつぶっていた
しかしヒートアップした2人が、なんだかんだとセナに触れているのは流石に耐えかねる
「セナもいつも言ってるだろう。首輪でもつけるか?」