学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
あれからセナは、なにかとサンジと行動を共にすることが多くなり
みんなで一緒に過ごすお昼休みには、2人並んで料理のアイデアをお互いに出し合っている
放課後には一度生徒会室へ顔出しはするのだが、すぐに調理室へとおもむきメニューのコストを考えつつ、試作を繰り返しては日が暮れていた
そんな日々が続いていた、ある日の放課後
ガリガリガリ…
「………」
「「……」」
「ぐぁーっ」
生徒会室に響くのは、重苦しい沈黙と豪快ないびき…それに文字を書いているとは思えないような、凄まじい筆記音
「おい、シャチ」
「…なんだよ」
1年の2人が肩を並べて小声で会話を始める
「あれ、机やばくないか」
「多分何か削れてるよな。もはや呪いだよアレ」
「セナのやつ、こういうところ気が回らないんだよなぁ…」
「気が回らないってか、気付きもしないしな。そもそも」
昔から周囲の人間に向けられる感情や言葉には鋭いのだが、如何せん自分に向けられるそれらにはめっぽう鈍すぎる傾向があった
そしてそれは今も変わらず…
「あれじゃ流石に会長が可哀想に思えてきた」
「俺もだよ。ちょっと呼びに行ってくるか…」
明日には文化祭本番だ。どうせ最終仕上げに2人で調理室に篭りっきりなのだろう
ここ一週間以上、殆ど相手にされていないローがいい加減キレてしまえば、誰にも止められない
その前に手を打たねば
ガチャッ
「みんなお疲れ様ー!ちょっと休憩にしない?」
「!セナ」
「なんだ急に?」
扉が開いたかと思えば、髪を結いあげてエプロン姿のセナが顔を覗かせる
「サンジさんがね、みんなにも食べてもらって意見聞かせてほしいって言うから。さっき作ったメニュー持ってきたの」
入ってきた手には、大きな銀色のトレイが握られ、その上には軽食からスイーツまで様々な料理が並んでいた
「んがっ、食いモンの匂い!」
寝ていたはずのルフィが起きて、一目散に駆け寄ってくる
テーブルに並べ替えられた皿を前に豪快に腹の虫を鳴かせていた
「感想聞かせてね?特にルフィ」
「うんめーこれなにが入ってんだ?サンジの飯なのに、いつも以上にウメェ!!」
「私も考えたから、当然でしょっ」
「にししっ、そうか。当然だな」
ルフィは頷きながら、料理を胃袋に収めていく
「麦わら!一人で食うなよ!」