• テキストサイズ

学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第4章 姫始めは初詣のあとで(*)



「?何言ってんだ、アホコック。ちゃんとルフィのところ指してただろうが」
「指してねェよ!人に方向示す時まで迷子になってんじゃねェ、この方向音痴マリモがァア!!」

サンジが両手にした豚汁を一滴も零さぬように、華麗な足技を繰り出す
するとゾロは攻撃を躱しつつ右手に持つイカ焼き10パック入りの袋を口元に咥え、一瞬で腰に携える刀を抜き去り応戦した

そうすれば流石に周囲で好奇の眼差しを向けていた観衆たちが、その身に危険を感じ始めると悲鳴を上げて散り散りになる

「警察沙汰になると、少々厄介かもしれんな」

真剣な面持ちで逃げ惑う人たちの後ろ姿を見遣り、顎に蓄えた白髭を撫でながらレイリーが肩を竦めた

逃げていく人々の中には、勝手に我が身の危険を感じている人も居るはずだ
そんな身勝手な勘違いで、事を大きくされてしまえば責任を被るのはここに居る教師たち一行

あくまで騒ぎの中心である当事者たちは、今のところ責任能力を求められない学生であるからだ

「オイ麦わら、あのバカどもを止めてこい!テメェの仲間だろ!!」

面倒ごとが起きる前にと、スモーカーが未だ呑気に買い込んだ食べ物を頬張るルフィの首根っこを掴み上げる

「ぐぇえっ!なにすんだ、ケムリン!吐いちまうだろ!!」
「聞いてねェのか!あの2人を、止めろと言ったんだがなァ!!」

ルフィが容赦なく首根っこを掴み上げられたまま、スモーカーの吐き出す紫煙越しに喧騒が聞こえる方向へ目を向けた

「なんだ、ゾロとサンジか」
「さっさと止めてこい!」
「いやーアレ、いつものことだしよォ?そろそろ終わるんじゃねェかな」

絶え間なく吐き出される紫煙のせいで霞がかる視界、それでもルフィの目にはしっかりと騒動を止めるであろう人物の姿が見えている


「もう2人とも!いい加減にしてってば!!」

常人なら恐れ慄く状況も関係なく第三者の声が2人の間に割って入った
思わぬ人物の登場にぎょっとして動きを止めたゾロと、危うく足技が掠めそうになったことに青ざめたサンジが目の前で此方を睨みあげる人物を見下ろす

「ほら、止まっただろ」
「ったく…しょーもないコトで喧嘩すんじゃねェと、言い聞かせとけ」
「ニシシ、分かった」

先ほどとは打って変わって静まり返った光景に、スモーカーはそう言い残してルフィを解放した

「なんでお前が止めんだ… セナ」
/ 176ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp