学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
「別に信じちゃいねェけど、大吉だったらまァ気分いいじゃねェか!」
キッドがいつもの凶悪な笑みではなく、年相応の…それより少し幼いような笑みを浮かべる
どうやら自らおみくじを引きにきた動機は実に単純明快だったようだ
そこでセナがふと口を開いた
「…凶だったら?」
「ア゙?」
「そんなに怒らないでよ。だってそうでしょ?大吉だったらイイけど、凶だったら…あ、暴れたりしちゃダメだからね!」
「しねェよ!俺をなんだと思ってんだテメェは!」
不貞腐れてしまったキッドに背中を小突かれる。彼なりにかなり手加減したつもりらしいが、衝撃に耐え切れずセナ軽く吹っ飛ばされるように前のめりになった
「わわわっ…!」
「ッセナ?!」
倒れそうになるセナにキッドが手を伸ばそうとしたとき、半歩後ろほどから腕が伸びてきて傾きかけた身体を支える
「あ、…ロー」
「ったく、何してんだ…!」
地面に倒れ込む寸前、それまで後ろで話を聞いていたローがすかさずセナの身体に腕を回した
思わず肝を冷やしたことに、ローの口調がキツくなってしまう
「ご、ごめんね」
「違う。セナじゃねェ。…オイ、テメェの馬鹿力を考えろ、ユースタス屋」
「…まァ流石に悪かったとは思ってるぜ」
ビクッと肩を跳ねさせ、恐る恐る振り返るセナの身体をきちんと立たせ頭を一度撫で付けると背後を振り返る
それと同時に睨み付けられたキッドはギクリと表情を引きつらせ、気まずそうに視線を逸らした
「違うのロー、今のは私が」
「コイツを庇う気か?」
「だってキッドをからかったのは私だし。…親友だもの」
キッドに詰め寄ろうとしたローの袴の裾を引き、セナが必死にふるふると首を振る
『オイオイ…今はやめてくれ。セナ』
視線を逸らしたまま、会話を聞いていたキッドは内心更に表情を引きつらせていた
今の状況で、2人の関係を口にするのは火に油…いや、業火にガソリンを注ぐほど危ういということは、既に経験済みだ
「なら、2人で楽しんでりゃァいいだろ」
「なんで、すぐそうやって!」
早速怒りが爆発したローが、不機嫌に踵を返そうとする
そんな彼を制止し反論しようとセナが腕を掴むが、あっさりと振り解かれてしまう
「おいっお前ら、その辺で止めとけ…!」