学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
「うぅ、痛いよナミぃ…」
「バカップルは連帯責任。この人混みで待たされる私達の身にもなってくれるかしら?」
げんこつを食らったことに不満げなローと痛みに顔を顰めたセナは、溢れ返る人混みの中で眦を吊り上げたナミに懇々と説教をされ続けることとなる
しおらしく肩を並べた2人は通りすがる参拝客たちの注目の的になりながら、ナミの怒りが収まるのを待つしかなかった
「ナ、ナミちゃんその辺で!ね?」
「そうですよ!2人とも反省してるようですし」
色々と見るに耐えかねて助け舟を出したのは更にその後ろで待っていたカヤとビビ
収まるところを知らないナミの怒りは、この2人のお陰で一先ず区切りをつけられた
『カヤちゃん、ビビさん…ありがとう』
セナは心の中で2人に手を合わせておく。その隣で未だにローは不満顔である
「反省してるようには見えないんだけど??特にトラ男」
「しっしてるよ?めちゃくちゃ反省してる!ね、ほら!ローも!!!」
「怒られる筋合いはねェ「ロー!!!!」
せっかく事が丸く収まりそうだというのに、余計な波風は賢明ではない
反論しかけたローを遮って、セナが慌てて口を塞いだ
「…まぁいいわ。それよりセナ、おみくじ引くんでしょ」
「うん!みんなも引くでしょ?」
「もちろん!年の始めの運試しですよね!」
「そうだよ!ビビさん初めてなんだよね?」
呆れたように肩を竦めたナミが自ら話題を逸らすと、おみくじを一大イベントと称して盛り上がっているセナとビビ
「私も初めてだよ!」
「え、カヤちゃんも?!」
実のところ、ビビもカヤもいわゆるお嬢様という富豪の家系出身
海楼学園に入るまで、極力世間に関わる事を許されてはいなかったらしい
「じゃあ私が教えてあげる!まずは…」
「教えるもなにも、見たらンなもん分かるだろうよ」
「!キッドもおみくじ引きにきたの?」
俗世の文化に初めて触れるお嬢様2人に、張り切っておみくじのノウハウ(?)を教えようと意気込むセナの背後に影が差す
同時に頭上から降ってきた声の主は、呆れ顔のキッドだった
意外な人物の乱入に、ナミが首を傾げて声を漏らす
「え、アンタおみくじとか信じ無さそうよね?」
「ア?なんだと」
「キッド睨まない!…でも確かに」
「フォローすんのか何なんだお前は」