学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
微妙な空気をかき消すように、キッドが渋々と口を開く
しかし何となくバツが悪いのか、視線は明後日の方向を向いていた
そんなキッドを一瞥して、今度はローも口を開く
「俺は悪くねェ」
「バッ…!ガキかよ!」
「聞き分けのいいフリしたガキはどっちだ」
「ッテメェなァ!」
すんなりと謝ったキッドに対し、ローは未だ不服そうに眉根を寄せている
周囲だけでなく、間に挟まれたままのセナもこれには流石に呆れ顔だ
学園内で生徒会長を務める際には決して見せない、ローの嫉妬深く聞き分けのない子どものような一面
「トラ男、子どもみてェだな」
不貞腐れた様子のローを見て、ルフィが率直に感じたことを口にする
実のところ高校以前から知り合いである仲間たちを始め、一番付き合いの長いベポでさえそんな彼を見るようになったのは、ここ最近の話だった
なのでルフィの言葉に、周囲の人間も思わずウンウンと相槌を打つ
「誰がガキだ、バラすぞ」
「まァまァ、生徒会長サンよォ!ひとまず話は歩きながらにしねェか」
「そうだな。此処ではこれ以上近所迷惑にもなり兼ねない」
素直すぎる感想を述べたルフィを睨みつけたローの気を逸らすように、無理やり肩を組んだのは海楼学園の教師でありルフィの兄でもあるエース
さらにもう1人の同じく教師であり兄であるサボも加勢するように反対側から肩に手を掛けた
半ば強制的に歩かされる形となって、ローはその場を動かざるを得なくなってしまう
そんな珍しい組み合わせの3人の後を、他の面々もゾロゾロとついて歩き始める
セナはいつの間にかいつものメンバーに囲まれて、ローとは距離が離れて歩いていた
それからほぼ太陽が真上に昇りきった頃、ここらでは有名な神社に辿り着く
此処に来るまでの間、ローはエースとサボ以外の教師陣にも絡まれ続けてうんざりとした表情を浮かべていた
ようやく解放されたとき、辺りを見回してセナを探すと仲のいい女友達に手を引かれ参拝に向かっているのが見えたため追うに追えなくなってしまう
「日頃の行いが出たようだな、トラファルガー」
「セナ取られてやんの、ブワッハッハッハ!ダッセー!」
「お頭笑い過ぎだ」
突然ホーキンスがボソリと呟いた背後では、シャンクスが腹を抱えて笑いだした
その態度をお目付役のベックマンが窘める
「ロー!」