学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
ガチャリ
「みんな、お待たせっ!」
玄関の扉が開くと、申し訳なさそうに眉を下げるセナが顔を覗かせた
そんなセナの後ろには不機嫌を隠そうともせず不貞腐れたローが憮然と立っている
「遅ェ。どんだけ待たせりゃァ気ィ済むんだァ?」
「キッドごめ「誰も待っていろとは頼んでねェがな」
扉越しに声を掛けていたキッドは出てきたセナを覗き込むように話しかけた
流石に2メートル超えの位置から見下ろされれば、決して怖いわけではないけれど
彼の醸し出す威圧的な雰囲気にセナが思わず謝ろうとする
しかし途中で遮られてしまうと、背後から応戦する声が聞こえた
もちろんそれはセナの背後に居たローで、覗き込まれているセナを挟むようにキッドに対峙している
「テメェは待っちゃいねェよ」
「セナのことも待つ必要はない」
「そりゃァこっちの勝手だろうが!指図してんじゃねェぞ」
「勝手ならコイツが責められる理由はねェだろ、バカスタス」
顔を合わせれば犬猿の2人は、新年を迎えようとも通常運転で火花を散らす
もはや見慣れすぎた光景に、取り巻く仲間たちは呆れ顔で言い争いが終わるのを待った
「ちょ、2人ともっ」
「ンだと?バカファルガー!」
「キッド!ローも挑発しないで!」
「コイツが勝手に突っかかってくるだけだ」
「テメェが小せェ男すぎるだけだろうが!」
しかし言い争いは終わるどころか、ヒートアップするばかりで
間に挟まれたセナがどうにか止めようとするも、聞く耳を持たない
「っ〜〜もう!」
こうなってしまうと、強制終了せざるを得なくなるパターンもお決まりである
「2人とも、いい加減にして」
「「!!」」
明らかに怒気を含んだ抑揚のない声が、頭上で繰り広げられる言い争いを遮った
その声に睨み合っていたローとキッドは互いに視線を外して、そのまま下に落とす
2人の間では声の主であるセナが窘めるような視線で見上げていた
「なんでそんなに喧嘩ばっかりするかな…」
「「コイツが」」
「……2人とも、反省って言葉知ってる?」
怒りを通り越して呆れたように溜息を吐けば、タイミングが良いのか悪いのか言葉が重なる
普段は全く相容れないのに、どうしてかこういう時だけは気が合うようだった
「 ッチ…!悪かったよ」