学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
支えられていた身体を軽々と抱え上げられ、セナは再びベッドへと身を沈めた
さらにはローが覆い被さり、2人きりではいつも通りの光景ではあるけれど
「みんな待ってるから、行かなきゃ。ね?」
「断る」
「や、否定早すぎ」
「あいつらが勝手に来て、勝手に待ってるだけだろ。待たせときゃァいい」
必死の抵抗を気にも止めず、ローは目下の細い肩口に顔を埋めると窘めるようにやんわり歯を立てた
本能的に命の危険を察知したのか、セナはギクリとして僅かに抵抗を弱める
抵抗されないのをいいことに、ローはそのまま肩口にまで紅い痕を残してゆく
たったそれだけの事に、セナは全身が熱に浮かされたように感じてしまうのが恥ずかしくて顔を覆い隠した
「それに、お仕置きしねェとな」
「えっ?」
「あいつらに見せただろ」
ツッ…と、真新しく痕が付けられた肩口から無数の痕が散らばる胸元まで辿るように長い指が這う
「あれは、落ちかけたからっ」
「そもそもお前が出てくる必要は無かったはずだ」
「私の家なんだし、出て当たり前でしょ」
実際には対応に出た、というよりベポに釣られて出てしまった感はあるが
しかしあくまで客人であるローが、来客の対応をするのもおかしな話である
「とにかく!初詣行かないと、新年なんだし」
「…新年は始まったばかりだろう。焦る必要はねェ」
「そういう問題じゃないでしょ!ほら、行こう?」
いつまでも渋面を貼り付けたローの腕から抜け出し、セナはベッドを降りた
身支度を整えだすと、ベッドが短く軋む音とともに背後から深く諦めたような溜息が聞こえる
「…帰ったら覚悟しろよ」
「ハイハイ。じゃあローは下で着替えてきて?和服用意してあるから」
恨めしそうな声で捨て台詞を吐いたローの背中を押して、部屋から半ば強引に押し出した
階段を降りる音が段々と遠退いたのを確認して、セナは安堵の息を一つ吐く
「はぁ、危なかった」
本当はセナもローと2人でこのまま過ごしたかった。けれど図らずも友人たちが待ち構えている
まだほんのりと燻る熱が、本格的に燃え上がってしまわないように必死で抑え込んでいるというのにローはお構いなしだ
「我慢してるのは、ローだけじゃないんだから」
不機嫌な彼の顔を思い出して、セナは無意識に唇を尖らせた