学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
明らかに指摘されたことへの動揺を隠せず、大きな瞳がゆらゆらと泳ぎまくる
相変わらず、目の前の彼女は嘘が下手なくせにどうにか嘘を吐こうとしていた
「言えねェようなこと考えてたのか」
「そっ、んなことは、ない」
「じゃあ言え」
「うう…」
逃げられないように、手首を掴むとベッドへ小さな身体を縫い付ける
すると背けられた顔が、諦めたのか意を決したように覆い被さるローを見上げた
「私って、変なのかな…?」
「…は?」
「だって、ローに触られると…すぐに、ッ」
「?すぐに、何だ」
これから言おうとしている事を躊躇うように、言葉を詰まらせるが有無を言わさぬ雰囲気で続きを促される
「…すぐに、気持ち良くなっちゃうし。私って変態、なのかな?その、もっと…触って、欲し、って………ロー?どうしたの?」
緩く拘束されていた手首が片方だけ解放されたかと思えば、何故か目の前の彼は自らの目元を覆い隠してしまった
そうして深く長い溜息とともに、何とも言えない感情が混じった声が吐き出される
「お前は…」
「ん?」
「…新年早々、俺をどうしたいんだ」
「へっ?」
決して怒っているわけでもなく、呆れられているわけでも無さそうだけど
ローの声には明らかにいくつかの複雑な感情が込められている気がした
『無自覚すぎんだろ』
ローは内心何度も嘆息していた
それもそのはずである
初めて共に年を越し、その瞬間にも身体を重ね合わせていたのだ
そして夜が明けて目を覚ませば、何故か積極的に下半身に顔を埋めるセナの姿
それでも煽ってなどないと思っている彼女だが、さらに今度は自分に触られただけで煽られるのだと平然と言ってのける
普段なら絶対言わないくせに
「ロー、大丈夫?」
不安げなセナの声が、顔を半分隠したまま一言も喋らなくなったローに恐る恐る伺いを立ててきた
大方、呆れられているとでも思って泣きそうな顔をしているに違いない
「言っておくけどな」
「うん?」
先程は自らの素直すぎる身体に、浅ましさを感じて居た堪れなくなったから泣きそうになっていたのだろう
ならば、教えてやろうではないか
「仕込んだのは俺だ」
「…んん?」
「お前が変態だというなら、そうさせたのは俺だってことを忘れんじゃねェ。あと」
「あと?」
「お前がそうなるのは、後にも先にも俺だけだ」