学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第4章 姫始めは初詣のあとで(*)
「お、起きてた…の」
「寝てただろ」
行なっていた行為が行為だっただけに、セナはバツが悪くて横を向き視線を逸らす
ローは無言ではあるが、逸らした横顔に痛いほど視線が刺さるので段々恥ずかしさに居た堪れなくなった
「ごめ、ん…なさい」
意図せず冷静になってきた頭で考えてみると、申し訳無さしか浮かばない
彼氏の寝込みを襲うようなことをして、もしかしたらローはそういう女が嫌いなのでは…いや、きっと彼の性格からすれば嫌悪の部類でしかない気がしてきた
ほんの数分、数秒も実は経っていないかもしれないけど
たったそれだけの時間さえ、相手の言葉を待つ間は不安しか浮かばなくなる
「オイ」
「…」
「セナ」
「…?」
ローが名を呼ぶ声は思いの外優しくて、恐る恐るではあるがゆっくりと顔を向けた
そこには不機嫌な顔も、呆れた顔もなく…楽しげに口角を吊り上げた彼の顔がある
怒っていないのだから喜ぶべきなのだろうが、セナは軽く混乱していた
自分の想像と実際の現実の違いに
「何マヌケ面してやがる」
「へっ」
「まァ、大体お前の考えてる事は分かるが」
クツクツと愉快そうに喉奥で笑うローの表情は、やはり微塵も怒っている様子などなくてセナは無意識に眉間に皺を寄せてしまっていた
「何か言いたげだな」
「別に…」
「言えよ」
「なんでもな…いッ?!」
いつでもローは堂々と余裕綽々で、取り乱し不安になるのはセナだけのような気がする
それが何となく気に食わなくて、つい不貞腐れた態度になってしまった
次にそんな態度がお気に召さなかったのはローの方だったらしく、腕を引かれて素肌のままの胸元に引き倒される
突然のことに受け身など取れるわけもなく、逞しい大胸筋に強か顔面を打ち付けた
鍛え上げられた筋肉とはそれなりの硬度があって、無駄な肉など一切纏っていないローのそれは凶器に値すると思う
現に打ち付けた顔面の至る部分がじんわりと痛みを訴えていた
「男だろうが女だろうが、主導権を握られるのは虫唾が走る」
「え?」
「けどまァ…お前だけは、それに当て嵌まらねェかもな」
「ん…?っひァ!」
言っている意味がよく分からなくて聞き返そうとしたとき、無防備に乗りかかったままだったセナの下半身に刺激が走る
それに思わず変な声が出てしまった