学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第3章 年越しそばと姫納め(*)
「ン、」
ピクリと肩が跳ねて、鼻から抜けた甘い声が耳に心地よい
舌を這わせたまま、ほんのり熱の上がったうなじにかぷりと歯を立てた
「ひ、っ」
短い悲鳴が漏れた。それは本能的に危険を察知したためだろう
軽く立てただけの歯に、段々と力を込めてゆくと白い肌に深く食い込んだ
「あっ、や…何…っ?」
捕食される恐怖感を感じてセナは思わず身をよじって逃げ出そうとする
「……逃げんな」
ガタン
逃げようとする身体を作業台に押し倒し、うなじを甘噛みしながらのし掛かる
「いっ…」
「煽ったお前が悪い」
「何もそんな要素なかったでしょ?!」
ジタバタと暴れようにも、そんなに広くない作業台には作りたての年越しそばが湯気を立てて並んでいるため、下手に動くことができない
しかし逃げようとしたり、抵抗をすればするほどローの中の熱が上がることをセナは知る由もなく
無駄な抵抗を続けるばかり
「ね、ロー?おそば、伸びちゃう」
「伸びても腹に入れば一緒だ」
この一言に、セナの眉がピクリと上がったことをローは知らずに行為を続けようとする
「…りは、」
「?なに「料理は美味しい内に食べるのが常識でしょ!!」
セナは叫んだ同時に作業台に手をつき、思い切り身体を起こした
すると見事に後頭部が、のし掛かっていたローの顎にクリーンヒットする
流石に本日二度目の同箇所への攻撃に、ローはセナから離れて頭を抱えた
「何しやがる…」
「温かいものは温かい内に、それが一番美味しいに決まってるの!腹に入れば同じ?ふざけないで」
目くじらを立てて腰に手を当て、セナは仁王立ちで項垂れるローを睨み付ける
言い返す余地も与えないほどに、怒りで我を忘れた説教はまくし立てるように続いた
「伸びても美味しいって言ってくれるんだろうけど。でも私は一番美味しい状態で食べて欲しい。ローには、最高の状態で、美味しい思ってもらいたいの」
真剣な眼差しで、ローを見つめる瞳には炎さえ宿っている
こうなったセナは、意地でも折れない…だが実際に悪いのはローなのだ
「…悪かった」
張り詰めた雰囲気に流石のローも謝罪とともに頭を下げた
己の浅はかな欲望に負けて、セナの想いを蔑ろにしたことを反省しているようだ
「…分かったなら、いいよ」