学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第3章 年越しそばと姫納め(*)
しかも大体、そのマイナス思考の原因は至ってどうでも良いことであることが多い。そのため不安になる要素を探す方が、骨を折る作業だったりする
しかし、彼女がすぐに不安になるのも分かるから言い返すこともできない。ロー自身、言葉足らずなのは分かっているから
それに、
『結局俺はセナを手放す気が、毛頭ねェんだな』
どんなに面倒だと、簡単に手放せれば、どんなに楽かと思うこともある
けれどやはり、彼女を失うことの方が何より恐ろしいと思うのだ
「ロー?」
セナが大きな瞳を揺らして、心配そうに覗き込む
揺れる瞳に映るローも、不安げに揺れて、その表情を歪めた
「…ごめんね?」
「……」
「何をしちゃったか、分からないんだけど。でもまた私が気づかないうちに、機嫌悪くさせちゃったんだよね」
申し訳無さげな笑顔を浮かべ、事を丸く収めようとする
いつもセナが見せる、他人向けの笑顔と謝罪
ローはこの笑顔が嫌いだった
全て自分が悪いと、有無を言わせず本心を飲み込ませてしまうような…閉鎖しきった笑顔が
そしてまた、そんな笑顔を浮かべさせてしまう自分が
ビシッ
「いッ、た!」
笑顔を貼り付けたままのセナに、容赦なくデコピンを食らわせる
笑顔を浮かべていた表情は、みるみると泣き顔に変わり、また怒りも含まれているのか少々赤らんでゆく
「いきなり何するの!」
「ヘラヘラ笑ってんじゃねェ」
「な…ッ?!ヘラヘラなんてしてない!」
頰を膨らませ、反抗的な瞳で反論すればクスリとローが笑みを浮かべる
「なんで笑うの!」
「いや…さっきの気持ち悪ィ笑顔より、今の方がイイと思っただけだ」
「なん、で…笑ってる方が、いいでしょ?」
泣いたり怒ったりするより、どんな時でも笑っている方が誰も傷つかない。自分を除いては
自分が傷つくことより、相手が不快な思いをしている方がセナには心苦しくてたまらない
「笑いたくもねェのに、笑ってんだろ」
「だってそうすれば」
「何故感情を隠そうとする。俺はそんなに信用ならねェか」
「そんなわけ…!ッ」
あまりの言われように、再び反論に食ってかかろうとすれば腕を引かれ、ローの逞しい胸元に抱き寄せられる
「なら、もっと自分をさらけ出せ。俺しか知らない、お前をもっと寄越しやがれ」
「ローしか、知らない私?」