学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「ローは、白が嫌い?」
どこか悲しそうに、けれど慈しむような視線で小首を傾げる
「ああ、嫌いだな」
故郷も、安息も、大切な存在も全てを失ったきっかけは白にまつわる
そしてこれからも、目の前の彼女といる限り半永久に付きまとう恐怖
「そっか…」
「だが、」
「?」
「お前が俺との運命を繋ぐ色が白いというのなら、悪くはねェな」
彼女は自分の運命を受け入れた上で、白を受け入れたのだろう
ならば自分にとっても、受け入れるべき運命の色
「…メリークリスマス、セナ」
深々と降り積もる雪空を背景に、ポカンとしているセナの頰に手を添える
「…ッ、」
頰に添えた手に、生温かい雫が伝う
雪空にも負けない美しい星空がそこには広がっていた
ローを歪んで映すセナの瞳に、クスリと笑みが零れる
「ケーキでも食うか」
「ケーキ…」
「もう忘れたのか?仲直りのケーキ、なんだろ」
「!うん、っ」
昨晩セナが意識を失った後、ローは冷蔵庫を拝借して冷やしておいた
ケーキと皿を拝借すべく、2人で一階に降りると声が聞こえる
『んー!やっぱりあの子のケーキは美味しいわ』
『甘さも控えめで、大人の味だね』
「!!?2人とも、まさかっ…!」
階下の声が聞こえたと同時に駆け出したセナが、ダイニングを覗くと、いつの間に帰ったのか両親が顔を揃えていた
さらには、シャチとペンギンの姿まである
4人の手にはフォークと、中央のテーブルに囲まれた見覚えのあるチョコレートケーキ
綺麗なハートの形をしていたはずのソレは今は思い思いに食べられた末に、無残な形でその姿を保っていた
「ちょっと!なんで勝手に食べて…!」
「うぉっ、なんだよ?!何怒ってんだよ」
「痛い痛い!叩くなって、セナ!」
口の周りにチョコレートを付けている幼馴染の2人に、怒り任せに飛びかかってバシバシと叩く
叩きながら、同じく呑気にしていた両親をキッと睨みつけた
「なんで、みんなだけで、勝手に私たちのケーキ…!」
「おい、やめろセナ」
怒りのあまり上手く言葉にならないセナを、背後から宥めるのは遅れてダイニングへと入ってきたロー
シャチとペンギンから引き剥がし、怒りに熱くなった小さな身体を腕の中に収める
「ローっ、!」
「落ち着け。仕方ねェだろうが」