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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)


腕の中の心地よい体温に、ローもすぐに眠気に襲われた


2人で深い微睡みの世界へと旅立つ

***

目が覚めたのは、日も高く上った昼前
セナは息苦しさに目を覚ました

「ん…ぅ?」

胸を詰まらせたような、肺が圧迫された苦しさに数度瞬きを繰り返す
覚醒しきらない頭で、状況を把握しようと頭を働かせようとしてみる
ぼーっと、靄がかかったようになんとなく、何も思い出せない

ひとまず身体を起こそうと試みて、もぞもぞと身じろぎをする
しかしピクリとも動く気配がない…というより、締め付けてくる何かはより力を増しているようだ

「く、るし…っ」

「どこへ行く」

寝起きの少し掠れた声が、不機嫌そうに頭上から降ってきて顔を上げる
まだ少し眠そうに瞳を瞬かせながら、目を細めて此方を見下ろしているローと目が合った

そこで漸く、昨晩までの状況を思い出す

「大丈夫か」

目を合わせたまま口を開かないセナに、一瞬の不安が蘇る
まさかまた、記憶が…

「ロー」
「…なんだ」

開いた唇からポツリと紡がれた言葉は、確かに意思を持ってローの名を呼んだ
そのことに内心ホッとしながらも、表には出さないようにして応える

「苦しい、のだけど…」
「ああ、悪ィ」

だが、表に出さない意思とは反対にその喜びを全身で現してしまったようで
抱きしめたままだった腕に、思いの外力が込もってしまっていたらしい

少しだけ腕の力を緩めれば、ホッと息を吐いている

「セナ」
「ん?」

前髪をさらりと長い指がかき上げ、顔を覗き込む
その表情はとても真剣で、不覚にもドキリと胸が高鳴った

「どうした」

ニッと口角を少しだけ上げて、口元が笑みを象る
それだけで心臓は爆発しそうなほどにときめく

「良かった…」
「?何がだ」
「全部、覚えてる」

生まれてから今までのことも
それまでに出会った人々のことも
幼い頃のおにいちゃんの記憶と
今目の前にいるローの記憶も

彼への愛おしさもときめきも、全て

「私今、幸せ」

思い出が記憶が、当たり前にあることの幸せ
大好きな人が隣にいる、それだけで込み上げてくるものがある

幼い頃に一度だけ、サンタクロースにお願いをした

"おにいちゃんに会いたい"

叶わないと分かっていた、不義理をしたのは自分自身
都合のよすぎる願い、叶わないと諦めていた
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