第1章 Sunshine
食器を洗い終えて、母さんのエプロンを外す翔くん。
翔くんに俺が頼んで家事をするときは、いつも着けてもらってるんだ。
エプロンの肩のヒラヒラがまた可愛くて似合うんだ〜♡
流石翔くん♡でも、なで肩だからたまに肩紐がずれ落ちるんだけどね。
翔くんがジャケットを羽織って、俺を見てくる。
鞄を持ってから、翔くんに目配せをする。
翔くんが、俺の身なりをチェックしてくれる。
これも小さい頃からの俺たちの日課。
ネクタイを締め直してくれる。
翔くんの顔がやけに近くて、直視できないや…。
顔を反らした先に居た雅紀が、ニヤニヤとしながら俺を見ていた。
クッソ…。
なんだよ⁉
翔「これでよし。じゃ、行くよ?」
雅紀が翔くんの顔を見て、クスクスと笑い出した。
見ると、口の端に何かついてる。
雅紀が指で拭って…舐めた。
雅「翔ちゃ~ん。オベントついてたよ?もお、しっかりしてるようで抜けてるんだよな。ヒャヒャヒャ」
翔「あ、ついてた?顔洗ったのに何でだ?ま、いいか。さあ、出よっか?」
「う、うん…」
雅紀のやつ…!
なにも舐めなくてもいいだろうがっ!
俺が出来ないことをやってのける雅紀に、腹が立つ…!
奥歯をギリギリと噛み締める。
俺の翔くんへの想いを知ってるから、時々こうやって揶揄ってくる。
でもさ、雅紀も翔くんのことを友達として見てないこと。
俺は知ってるよ?