第1章 Sunshine
翔「雅紀。もうちょっと静かに来れないのか?ドアが壊れるだろ?」
雅「ヒャッハー!ごめーん、翔ちゃん!ねえねえ、かずは用意出来た?」
翔「あ?ああ。今、顔洗ってるんじゃないか?」
雅「そうなの?ずいぶんのんびりだなー。入社式に遅刻って、あり得ねー!」
翔「まだ大丈夫だよ。雅紀がせっかちなんだって。雅紀、今日はサンキューな」
雅「いいってことよ!どうせ、目的地一緒だしさ。それに俺の家の車デケエから、翔ちゃんたち乗ってくれた方が俺も楽しいしさー♪」
狭い家だから、2人の会話が筒抜けだ。
まあ、雅紀の声がデカイのもあるけど。
リビングに入ると、雅紀が「よっ!」って、手を挙げて挨拶してきた。
朝から騒がしいやつ…。
雅紀は、日本人ならいや、誰もが一度は聞いたことのある企業の長男だ。
でも、こいつは家が金持ちなのにいつもこの調子だ。
しかも、親父さんの会社には入らずに俺たちと一緒の会社に身上を伏せて入った。
直ぐにばれたけどね…。
漫画とかでよくある、金持ちのイヤらしさなんてものは、こいつには無縁のものだ。
気さくでイイヤツなんだけど、本人に言うと調子に乗るから言わないけどね。
「おはよう。雅紀、声デカイよ。頭に響く」
雅紀が頭をポリポリと掻きながら「ゴメンゴメン」と言ってくる。