第1章 Sunshine
翔「こら。拗ねないの。まったく…。ほら、おいで?」
両手を広げて俺を呼ぶ。
翔くんの胸に顔を埋めるようにして、抱きつく。
俺が拗ねたり怒ったりすると、いつもこうして抱き締めてくれる。
大好きな俺のオニイチャン。
俺の憧れのオニイチャン。
いつからだろう?
翔くんのことを兄として見れなくなったのは。
物心ついた頃には、もう好きだった…と思う。
翔「ふふ。いくつになっても、子供だな?かずは。あ、会社では“翔くん”って呼ぶなよ?一応2年先輩だからな?」
「わかってるよ。“二宮さん”。これでいいでしょ?」
返事の代わりに頭をポンポンと撫でてくれた。
翔くんのきれいな手。
その手で、頭を撫でられるのが堪らなく好きなんだ。
いくらでも言うこと聞いちゃうよ。
翔「かず。そろそろ朝飯食べにいこっか。あんまりゆっくりは出来ないぞ?雅紀が迎えに来るからな」
ん?雅紀が?
翔くんの腰に手を回したまま、顔だけ上げる。
「何で雅紀が来るの?俺、翔くんと行くからいいのに…」
今度は本当に拗ねて口を尖らせた。
翔くんが笑いながら、背中を擦ってくれた。