第3章 Juvenile
重怠い身体をなんとか奮い立たせて、ダイニングへと向かう。
足が重い…。
頭が重い…。
ああ、やっぱり侑李にいてもらえば良かったかな…?
侑李は、お父さんが俺に付けてくれた介護人だ。
資格を持ってるわけではない。
だから、介護人と言っても専門的なことは出来ない。
俺が体調が悪いとき、と言ってもほぼ毎日悪いんだけど、側に寄り添ってくれる。
兄弟と磯貝の他に、この家で信用できる人物だ。
食事を終えてダイニングから出ようとしたら、兄さんがお父さんに呼び止められた。
なんとなく、嫌な予感がして恵と共に扉の横で待った。
今日はかずくんの社会人デビューの日。
以前からこの日は兄さんの運転する車で皆でかずくんを送ってあげようと計画していた。
だから、どんなに体調が芳しくなくても行くと決めていた。
兄さんから、お父さんの車で行くことになったと聞かされたとき、正直ショックだった。
でも、俺以上に兄さんのほうが落ち込んでるんじゃない?
俺に運転する姿を見せたくて相当練習してたよね?
兄さんは隠してるつもりでも、バレバレだったよ。
ほんとに昔から嘘とか隠し事とか出来ないよね、ふふ。
雅「ごめんな、潤…」
もう、兄さんのせいじゃないんだから、謝らないでよ…。
「大丈夫。気にしないで」って言ったらやっと笑ってくれた。
うん。兄さんには、笑顔が一番似合うよ。