第3章 Juvenile
―6時30分―
ゆっくりと目を開ける。
壁かけ時計を見ると短針と長針が6のところを指しているのが見えた。
ちょっと早く起きちゃったな…。
両手を前に突き出して、手をクルクルと回して見た。
青白くて気味の悪い手だな…。
こめかみの辺りにツキンッと痛みが走る。
またか…。
昨日は無かった頭痛が始まる前兆。
侑李、帰さなきゃ良かったかな…?
倦怠い身体をなんとか起き上がらせる。
益々頭を締め付けられるような痛みに吐き気がする。
深呼吸をした。
「なんか楽しいこと考えよ…ふぅ…」
楽しいこと…楽しいこと…。
あれ?なんも浮かんでこないや…。
今日は調子が悪いな…。
ベッドの上で目を閉じて、体育座りをして痛みが過ぎ去ってくれるのを待つことにした。
暫くしてから磯貝が入ってきた。
磯貝「おはようございます。潤さま。顔色が良くないですね。こちらで朝食にします?」
「…いや、大丈夫…ふぅ…ひとりで…居たくない…ふぅ…」
磯貝が俺の身体を支えてくれる。
ベッドからゆっくりと降りて、着替えた。
「磯貝。もう兄さんのところに…行って…ふぅ…きっと…隠れて待ってるよ?」
磯貝が笑いながら「そうですね」と言って、部屋を出ていった。