第2章 Malaise
ダイニングでやけに長いテーブルで朝食をとる。
俺の向かいに恵。右隣に潤が座っている。
3人ともナイフとフォークを使って黙々と目の前の食べ物を口に運んでいる。
食事中に会話は禁止。これが我が家のルール。
こ~んなにだだっ広い部屋にこ~んなに長いテーブルのせいで、隣に潤が座っているといっても遠い。
はぁ…。
翔ちゃん家みたいに家族がわあわあ言いながら食事するようなさ。
そんな家に生まれたかったよ…。
これじゃあ…食事というより、摂取って感じだよなあ…。
俺たち兄弟は、仲が悪いわけではない。
ただ…子供の時から家の中で、家族の中で、漠然とした孤独をいつも感じていた。
お父さんが部屋に入ってきた。
みんな食事を中断して一斉に立ち上がる。
父「みんな…おはよう」
雅紀潤恵「おはようございます」
お父さんに向かって頭を下げる。
父「座って」
お父さんの合図でみんな一斉に座って、食事を再開した。
うちではお父さんが絶対君主だ。
逆らえるやつなんて一人もいない。
だけど、不思議なことに俺の就職先は「雅紀の好きにしなさい」と言ってくれた。
だから、本来ならお父さんの下で働かなければならなかったのだけど、翔ちゃんと一緒の会社に入ることができた。