第2章 Malaise
無駄に長い廊下を歩いてダイニングに向かう。
俺の少し前をふらふらと覚束無い足取りで歩く潤の姿が見えた。
潤は俺の5歳下の弟で、今年二十歳になる。
生まれつき身体が弱くて…。
朝なんか特に代わってあげたいくらい体調が優れないことが多い。
潤のもとに駆け寄って背中を支えた。
「潤。つかまってろ」
潤「…ありがとう……兄さん…ふぅ…」
「何でひとりで歩いてんだよ?侑李は?」
潤が力なく笑って首を横に振る。
また、帰したのか…。
恵「潤。大丈夫?侑李は?」
自室から出てきた恵が俺と同じように潤の背中を支えた。
恵は潤とは双子で姉にあたる。
潤と違って快活で、まあ、おてんば?ってやつ。
男女の双子なのに、何故か顔はそっくりなんだよな…。
二人とも日本人離れした濃ゆ~い顔してる。
潤「侑李は、…帰した。ずっと……俺の看病は可哀想だから…ふぅ…昨日は…少し…身体が軽…かったから…ふぅ…ひとりでも…大丈夫…かなって…ふぅ…」
潤が弱々しくにこりと微笑む。
恵「はぁ?あのね、潤。侑李は潤の看病の為に雇われてるんだからね?それが侑李の仕事なの!どうして、帰すかな~?磯貝。侑李、呼んできて!」
磯貝「はい、恵さま」
俺たちの後ろで様子を見ていた磯貝に恵が侑李を呼ぶように指示した。
磯貝が侑李を呼びに走っていった。