第2章 大好き
それから数日後
私達は大海原を航海していた
と言うのも、ある男の気まぐれから始まったのだけど
『‥あり得ないでしょ』
『何がだ?』
『たったの四連休しかないお休みで、どうして海外で合同合宿になるのよって言ってるの!』
『別に良いだろ、気分転換だ』
『貴方の気まぐれに立海レギュラー全員を巻き込まないでよ景吾ッ!』
そう、この合宿はこの男
氷帝学園三年 男子テニス部部長にして
跡部財閥御曹司でもある景吾が主催の為
行き先は彼に一任されていた
だけど
まさか海外迄行くとは誰も想像していなくて
立海レギュラー全員溜め息を付く中
景吾は一人専用チェアに腰を落ち着け
紅茶を飲んでいた
『ま、ちゃんの気持ちも分かるけど、ここは折れてやってくれへん?これでも跡部、君が合宿に参加すると聞いて、楽しみにしとったんやで』
『おい、忍足余計な話はするな』
『はいはい』
『跡部の気まぐれは今に始まった事じゃねーしな。』
『全く、亮が付いていながら景吾一人も止められないなんて』
『無茶苦茶言うなよ、俺にどーにか出来るかよ。』
『ハハハ、俺も宍戸さんに同意見です、さんくらいですよ?跡部さんに意見できる人は』
『亮も長太郎も甘いのよ、もっと言いたい事言えば景吾だって』
『ねぇそれよりちゃん、一緒にテニスしようよ~』
ジローがの背にのっかるように
抱き付くと、驚きつつも頬を緩ませる
『嬉しいけど、私は皆の相手になれるほどテニスは上手じゃないもの、足を引っ張りたくはないの。ジローは丸井君とテニスしたいんじゃないの?』
ジローが丸井に憧れているのは知っているので
丸井へ視線を送りながら首を傾げると
丸井も気づき二人に近づいてくる
『何だ、芥川俺とやるか?相手してやるぞ』
『えっ本当!?丸井君!』
『ああ、今菓子食って満腹だし、たっぷり相手してやるぜ。』
『やった~!嬉C~』
ピョンピョンまるで兎のように喜ぶジローに
は笑顔になる
そんな三人を他所に、立海メンバーは優雅に進む
船の甲板から海を眺めていた
『豪華客船で合宿と聞かされた時は、どうなるかと思っていたが、テニスコートやトレーニング施設も完備されているし、これは充実した合宿になりそうだな、幸村』
『ああ、ただ‥少し気がかりがある』