第2章 相死相殺
「好きなんです」
半年前、ダメもとで告白をした。
案の定駄目だった。
彼の想い人はスナックで働く女の人。
「お妙さん」という綺麗な女性。
私とは正反対で、信念があって強くてなにより純粋だった。
汚れてしまった私を彼が愛する訳がない。
だけど、これでいいのかもしれない。
私たちはいずれ殺し合う身。
もし彼が私のことを愛してしまったら、きっと彼のことだ。
私を殺してはくれないだろう。
そういうところは彼のダメなところ。
敵に隙なんて見せちゃいけないのよ。
「高杉」
非番の時、私は高杉たちがいる船へと一度戻った。
そして報告をするのだが、高杉は勘がいい。
「お前、何か隠してねえか?」
「何を隠すっていうの?」
「……フン。変な真似してみろ。ぶっ殺してやる」
彼はきっと気づいている。
私がいつまでたっても近藤を殺さないのにはわけがあるということ。
だから非番明けの次の日。
また子に私を監視するように言いつけたのだろう。
また子は高杉に好意を抱いているからアイツのいう事は何でも聞く。
きっと「変な真似をしたら迷わず撃て」とかでも言ったのだろう。
同じ女だ。
また子は気が付いたはずだ。
私が近藤に抱く感情に。
仕事が終わって帰ろうとしたとき、奇襲に遭った。
乾いた音が空に響き、私の腹に穴を開けた。
「随分腑抜けたッスね、。以前のお前なら私の気配に気づいたはずッスよ」
「奇襲とは汚い真似するね。以前のあんたならもっと正々堂々と勝負してたはずだよ」
「これが最後ッス。急所は外した。近藤の首を取ってこい。それができなきゃここで死ね」
「……わかった。今日あいつを殺す。だからあんたは大好きな高杉の所に戻ってかわいがってきてもらえば?その間に首を持って帰ってやるよ」