第4章 20年越しのアイ・ラブ・ユー。
「もしかして結婚のことですか?」
勘のいい赤葦は木兎が答える前に答えを導き出した。
「そう言えば招待状届いたわ」
「俺も届いた。出席したいんだけどどうしても外せない用事があっていけねえんだよな。俺の分もお祝いしといて」
「小見さんが来ないって知ったら烏野のリベロが悲しみますね」
知り合いの結婚に話題が盛り上がるのは、自分たちもいつか結婚するという意識が強いからであろう。
今の彼女とどうとか、同棲していてそう言う話も進んでいるだとか、話題は絶えない。
「ねえ、俺の話聞いて」
「ああ、悪い。結婚ってなるといろいろ考えちゃってよ」
「それで木兎さん。探してほしい手紙ってなんですか」
「あ~、まさにそのことなんだけど……」
言いずらそうに眼を逸らす木兎に長年付き合ってきた3人はピンときた。
木兎が探してほしいと頼んだ手紙は、澤村からの結婚の招待状なのである。
「待って下さい。確か出欠の返事の葉書も一緒に同封されてましたよね。確か、期限は明後日ですよね」
「じゃあ今日中に出さねえと向こうに間に合わないんじゃ……」
「木兎何やってんだよ」
赤葦、小見、木葉から散々言われてしょんぼりする木兎だが、今はそれどころではない。
一度縛ったゴミ袋を広げて間違って捨てたかどうかを確認するが、それらしい手紙は見当たらない。
タンスの上に広げられている公共料金の支払い用紙と混じっていないか確認するが、そこにもない。
「あ、あった!!」
テレビの裏を覗きこんだ木葉は、大量に落ちていた手紙やはがきを全部取り出した。
少し埃を被っているが、問題はないだろう。
木兎は出席に〇をつける。
他にも免許更新や暑中見舞い、年賀状など様々な催促状や葉書が出てくる。
その中にかわいらしい字で書かれた手紙が一枚出てきた。
それに目を通す木兎。
3人は雰囲気が変わった彼を見て互いに目を合わす。
「その手紙がどうかしたのか」
「あ、いや。昔の友達からもらったやつだよ。20年前になるかな」
「ということは小学3年生の時か?」