第4章 20年越しのアイ・ラブ・ユー。
「きったねえ部屋だな」
そう言ったのは木葉秋紀。
それに同意するかのように頷くのは小見春樹と赤葦京治だ。
部屋の主である木兎光太郎は悪びれる様子もなく、何が面白いのか一人で笑っている。
高校卒業して数年。
彼らは30近くの立派な大人へとなったわけだが、変わったのは見た目だけで中身はさほど変わっていない。
見た目が変わったと言っても、大人っぽくなったと言うだけである。
社会人となった木兎がいつもワックスで上げていた髪の毛を常におろしていること以外を除いては。
彼らは時間が合えば、こうして会っては一緒に遊んびにでかけたり、飲みに出かけたりしている。
今回も木兎に朝から呼ばれて木葉、小見、赤葦は木兎の自宅へと来ている。
猿杙は用事がありこれないらしい。
男性の一人暮らしとはどうしてこうもわかりやすのだろうかといほど散らかり放題の部屋に三人は何も言えずにただ立ちつくしている。
確かに、綺麗好きな男性であれば部屋は散らかることなく整理整頓はされている。
綺麗好きでなくてもそれなりに整理されているとは思うが。
しかし、相手は木兎である。
料理もしなければ掃除もこまめにしない男。
部屋の床にはお菓子の袋やコンビニ弁当の袋、ビールや空っぽの酒瓶が転がっている。
「とりあえず、掃除しませんか?」
呆れたような口ぶりで、赤葦はそう言う。
それに二人も賛同し掃除を始める。
床に散らばった袋とビールなど分別し、ゴミ袋が溜まったら縛る。
それを幾度か繰り返しやっと床が見えてきたら掃除機をかけたり、篭った空気を窓を開けて換気する。
4人で片づけを行ったおかげで2時間半という時間で部屋は綺麗になった。
整理された部屋の床に座り込む成人男性4人。
掃除の途中で買ってきたお菓子とジュースを広げ、彼らはなぜ今日呼ばれたかを木兎に尋ねる。
「手紙を探してほしくてさ」
「手紙?」
「そう!澤村いるじゃん。烏野の」
澤村。
懐かしい名前に3人は「ああ」と声をそろえる。
高校生の時に闘ったチームの一つ。
合宿で知り合ってから仲良くなり、ちょくちょく連絡を取り合っては遊んだりする仲である。
「澤村がどうかしたのか?」
小見がポテトチップスの最後の欠片を口に放りこむ。