第3章 栗毒薬計画 ▼赤羽業
「殺せんせーなら気付くよ…」
「あー。鼻はいいもんねあのタコ」
「目と鼻の区別つかないくらい小さいのにねぇ」
カリカリとシャープペンシルを回して用紙に記載する。この時間殺せんせーはカエデと渚の要望によってブラジルに行っている。本場のサッカーを見るのだと高らかに話していた。
「……」
「ん?……っ!」
呼ばれたから振り返ってみれば、瞬間、柔らかいものが唇に触れた。キス。
触れるだけの柔らかくて、甘い、熱いキス。驚いて瞳を瞬かせていれば、悪戯げに笑んだ業と目が合った。
「………ここ学校!」
「ん?別に良くない?スリルあった方がいいじゃん」
「よ、良くない!」
顔が赤く火照っているのはきっと、不意打ちだったから。そう自分に言い聞かせてペンシルを持ち直す。ぽきっと小気味いい音を響かせてシャー芯が折れた。
「〜〜〜っ……」
「ふーん、なんだ。も嬉しかったんじゃん」
「違っ….…」
「その顔で言われても説得力無いんだけど」
「っ……」
顔が赤いのは自覚ある。けどその顔って何。思わず俯いてしまった私の顎に業の細い指先が触れる。クイッと軽く持ち上げられれば、赤い瞳と視線がかちあう。