第4章 紅葉色 ▼沖田総司
確かに言ったような気がする。というかそんなこと、いちいち覚えていない。ふと視界の端に落ちてきた赤い葉っぱが落ちてきた。空を飾っていた紅葉はヒラヒラと空を舞って、やがては地に落ちる。まるでそれは僕の末路のようでーーー……
「ふぅん。そんなこと言ったかもしれないね。
でもなんで君がそんなこと覚えてるの?」
「そんなことじゃありませんよ。儚いけれど美しい。……沖田さんのその意見、凄く素敵だと思いました」
「………」
真っ直ぐ僕を見つめる彼女。彼女にはどう映っているんだろうか。この、血のように赤い葉色も、鋭い切っ先の刀も。
聞きたいようで聞けない。
「変わってるね、君」
「それなら沖田さんもですね!」
「君と一緒にしないでよ」
空を見上げれば満開の紅葉がこれでもかと赤に夕陽を移していた。
「本当、綺麗だね……」
明日の紅葉は、どちらに咲くのだろうか。
おわり