第2章 ショッピングデート ▼白布賢二郎
「ね、ダメ?」
縮まった距離に寄り添うように歩けば賢二郎がもう片方の手で口を抑えた。その頬はわずかに赤い気がする。
「……暑い」
小さく呟いた声にもっと腕を強く抱きしめて服屋さんへと向かった。
***
華やかなBGMは今年ヒットした名曲メドレーだ。予想通りやはり店内は女性客が多く、男性の賢二郎はただでさえ目立つのにそれに加えて端正な顔つき。前は閉店間際だったからそんなに人も少なかったけど、これは放っといたらそれこそ逆ナンされてしまうのではないか。ぎゅっと腕を抱く力を強めて店内へと足を踏み入れた。
「」
「ん?」
しかし、流石にお店の中で腕を組むのは彼的にNGらしくあっさりと腕組を解かれてしまう。私としてはもっとイチャイチャしたいと言うのに。
「で、お前は何を買いに来たの」
「え?えーと……」
まさか賢二郎の好みが知りたくて来たなんて言えずそれらしい服を手に取る。取ったのは白のVネックセーター。袖ぐりが長い最近流行りの服。