第2章 ショッピングデート ▼白布賢二郎
「……………ん?」
少し派手目なお化粧にはだけた服。秋も真っ只中の今その服は寒いのではと思う前に彼女の手が賢二郎の肩に触れられていることに胸がざわめく。声をかけていいものか、いやきっとかけていいんだろうけど。それでもどうしようか迷っているとばちっと賢二郎と目が合った。
「っ……」
迷った挙句なんともいえないぎこちない笑顔とともに手を振って駆け寄る。賢二郎の視線が私に向いたことにより隣に立っている女性の視線も私に向けられる。大きいカラコンを着けた、つり目の瞳は鋭く私を射抜く。イメージは派手めなお姉さんだ。歳は……二十歳前後と言ったところだろうか。
「お、お待たせ……」
賢二郎を見上げて声をかける。黄金色の瞳が淡白に私を見つめると、不意にぐいっとその手を取られた。突然のことに驚いた私は思わずバランスを崩すも、賢二郎によって支えられた。
「俺用事あるんで」
「っえ?ちょっと!」
後ろから聞こえる女の人の声にどう反応していいか、困惑したまま賢二郎を見上げた。しかし彼は真っ直ぐ前を見てしかいない。しっかりと握られたその手のひらにまた頬が熱を持つ。基本外では手を繋ぐとか、そう言うのをしない彼だからこそ余計に照れてしまう。嬉しい、なんて。