第2章 合同演習って・・・・サボりたい
うたたねをしている私を、誰一人起こそうとしなかった。
それもそのはず、起こしたら殺す、と言ってあるのだから。
休憩時間はまだたっぷりある。完全に意識を手放そうとした時、私の中で気持ち悪いものがうごめいた。
『!?』
私はいきおいよく体を起こした。トシや近藤さんがびっくりしたようにこちらを見ているがそれどころではない。
この感覚、何度も経験したことがあるのだ。
それは決まって、何かが起こる前にくる。
この感覚で何度命を救われただろう。そして、何人の人の命を救っただろう。
辺りを見渡すが、何も変化はない。
が、私は眼を閉じ、感覚を耳と鼻に集中させる。
銃火器特有の金属の匂い、鼻腔を擽る火薬のほんのわずかな匂い。そして今までとは違う声、男の匂い。
何よりも違うのは・・・・・・この・・・・・
『・・・・殺気・・・・・』
普通ならわからない。
この部屋は元々殺気で包まれていたのだから。でも、今までのものとは明らかに違う殺気があるのだ。
それは間違いなく強者の放つ殺気。
私は傍に置いてあった銃を引きよせた。
リボルバーで、中々使いやすそうである。そして、私の刀を二本とも手繰り寄せた。
リボルバーに弾を装填させ、ゆっくりと引き金を引く。
決して殺気立てず、あくまでも点検のように。
そして私はもう一度集中する。
物影がこの部屋には少ない分、敵は入口の三つと二か所の窓に居る。ざっと二十人ほど・・・・だが、この感覚だと相手は天人。
『ついでに・・・・・・点心の残党ってところか・・・・しかも辰羅・・・・』
集団戦法相手は得意であるが、これだけ人が居れば面倒だ。
『!?』
そう考えていると、殺気がより濃くなった。
考えている暇はない。とりあえず、一発で上の狙撃手を殺る。二人だから二発で足りる。そして一つの出口に銃を乱射、もう一つには刀を投げつけ、後の一か所にはつっこんでいくしかない。
私は銃口を上に向け、一瞬で狙いを定め、放った。