第32章 朧ともいはで春立つ年の内
『っづぅ・・・』
私は死なない。
かといって、怪我をしないわけではない。
『腕・・・折れたっぽい』
感覚のない左腕を右手で動かしてみる。
激痛が走り、目に軽く涙が浮かぶ。
『撒いた・・・かな?』
体の至る所に付いていた木の葉をはらい、立ち上がった。
高さはあったものの、下の木がクッションとなり、大した怪我はしなかった。
が、落下スピードを落とそうと手を木にかけた途端、運悪く枝が折れたのだ。
そのまま左手を下敷きに落ちる羽目となり、今この状態だ。
『ついてない』
この状態じゃ戦えない。
どう足掻いても、ボロ雑巾のようにされるのが目に見えている。
戦わず、かと言って相手に戦意を消失させるには・・・
『あ』
戦わず、相手に戦意を消失させるには
相手と自分の強さのちがいを見せつける
すなわち
恐怖を与えること