第31章 願ふ事あるかも知らず火取虫
土「・・・瑠維」
『ん~??』
土「いい加減離れろ」
『嫌だ』
さんざん泣いてから20分。
はい、ずっと抱き着いております。
泣いてる時は、ずっと背中を擦ってくれていたトシの手も、今ではダルそうに下がっている。
土「なんで、普段はしたがらねぇくせに、こういう時だけ甘えてくんだよ!」
『うるさい!みんなに忘れ去られてた、私の気持ちがわかるか、土方!!』
ムスッとして、またトシの胸に顔をうずめる。
・・・顔は上げない。
何故なら泣きじゃくったから。
泣く→目が腫れる→泣きブス→ヤバい
これテストに出るからね、覚えといてね。
じゃ、なくて!!
いや、今更いいんだけど。
今更泣きはらした顔見られても、別にいいんだけどね?
でもさ、ね?わかるでしょ?
土「オイ」
『・・・』
土「瑠維」
『・・・』
顔あげるか?あげないか?
あげたら爆笑が待ってる。
土「・・・はぁ」
『!?』
ため息が聞こえたかと思うと、いきなり抱きすくめられた。
そのまま顎に手を添えられ、顔を上げさせられる。
土「目、腫れ過ぎだろ」
『っ・・・うるさい!』
くっそぅ・・・笑うなぁぁぁ!!
土「あんまり見れねぇからな。お前の泣き顔」
『・・・』
土「貴重・・・だな」
・・・死ね、お前死ねぇぇぇ!!
なんだよ、その微笑みは!
なんで、そんなにかっこいいの!?
かっこいいにも程があるよ!?
なに、私を殺したいの!?
土「顔赤ぇ」
『な・・・調子に乗んな!』
土「わかった、わかった」
振り上げた手を掴まれ、瞼にキスを落とされた。
土「おかえり、瑠維」
・・・消えろ、消え失せろ・・・
『あぁぁぁぁ!!もう!』
土「んだよ、てめぇは!?」
『かっこ良過ぎるんだよ、土方死ねェェェ!!』
土「いや、意味わかんねぇから!?」